醜怪の花なむ咲く

マチミサキ

駄目です。

もう
この能力は封印します。

サディスティック
犯罪心理、犯罪史
罠の仕掛け方
人相学


そんな事象が関わる事に
幼い頃から
どうしても強い興味が抑えられず

ありとあらゆる
資料を貪るように
病的なまでに熟読し

それでも
この類いの知識は
これまでの人生では
ほとんど
使う事はありませんでした。

全てが
知れば知るほど
恐ろしいからです。

結果

━━━関わり合うのはよそう

それが私の結論でした。

【 君子危うきに近寄らず 】

これが正解

こればかりは
自信をもってそう言えます


どんなに時代や世情が変わろうとも
人間が人間である限り

悪は滅びません。

貴方が思い浮かぶ限りの
とても酷い犯罪を空想してみて下さい

まさか、そんなバカな・・

あり得ない!

と、思いますか?



現実はそれ以上である場合が
多いのです。


実は先日から
と、ある機関より依頼を受け

いわゆる

【 万引きGメン 】

的な
お手伝いを迂闊にも
請け負ってしまい

その結果

物凄い検挙率といいますか

なんといいますか…

モニターを観ていて

━━この人は怪しい

そんな何気無い予想の結果が
八割を越える的中率となってしまい

そのほとんどの容疑者が
窃盗に及び

実際に捕まりました。

中高生、中年、熟年層

性別に至るまで
それは様々でしたが。

要請者も

なぜ、そんなに判るのか?!

そう訝り
もはや気味悪がっていましたが

判るものは仕方がありません。

真面目そう、如何にも あやしい!

こういった見た目は関係ありません

言葉には出来ませんが
どうにも
そういう雰囲気を持っているのです。

【挙動】

それが1番解りやすい単語かも
しれません。

挙動不審、ではなく【挙動】です。

一見して
不審者ではなく

その逆も勿論ありましたが。


多分ですけど

私はきっと
誰よりも
犯人達に近い思考、気持ち を持って
いるのだと思います。

それも
パターン化されたものではなく

その場その場で変わる

ありとあらゆる犯罪者達の

これも上手く言えませんが
多重人格的に

それぞれのパターンに
次々と移り変わるような・・

ある時は大胆に

あるいは衝動的な

そして綿密に計算された

そんな
容疑者達、

犯罪が起こる瞬間の

まるで爆薬に着火するような匂い…

これを嗅ぎとるのが
これまでに身に付けた知識の集大成

そして才能というのなら

好きで
続けてきたものの

なんと嫌な開花でしょう


でも
もう二度とゴメンです。

なんとはなしに
解っていました

これは私が幸福にはなれない
そんな讎です

磨いてはならないものです



ああった現場には
もう行きたくありません。



捕まり

机に突っ伏して
泣く姿


開き直り
悪魔のような笑みを見せ
脅しをかける者


これも様々


人間は怖い


ごめんなさい
今回はこれで。


本当に疲れました


まるで捕まっているのは私のように見えて。

醜怪の花なむ咲く

東南アジア某国に
とても優秀な探偵がいたそうです。

そんな名探偵に
ある日

警察でもお手上げとなった

謎の変死をとげた遺体の
原因を究明する依頼が入り

結果

見事に
その謎を解き上げると
同時に

名探偵も死亡したそうです。

探偵は自らの身体を用い
変死体の生前の行動を
その思考に至るまで

完璧にトレースした結果

その死の到着点にまで
行き着いてしまったのです。

それは

泥の中に埋もれて
まず目視は不可能な

自然のイタズラで出来上がってしまった
毒針(のような物体)が原因であったそう。

普通に生活していれば
まず
立ち寄る事のない
そんな場所だったそうです…。

醜怪の花なむ咲く

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-10-24

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