嘘だらけの君へ

プロローグ

嘘だらけの君へ。

初めて出会った時から、君は一体僕にいくつの嘘をついていたんだろう。
僕はいまでもその答えを知らない。もう知ることはできない。だって君はもう僕の前から姿を消してしまったのだから。
何も知らず、幸せだと思っていたのは僕だけだった。今でも僕は後悔してる。本当にごめんね。
君のおかげで僕は幸せになれた。君からの最後のプレゼントは僕にとって凄く嬉しくて凄く哀しいものだったよ。
僕は君を愛していた。心の底から愛していた。いや、今も愛している。
だからもう何も気にすることはない。
君に出会えたことに感謝して。
今までありがとう。

君を愛した僕より

第一章

❶失われた記憶

僕は目を覚ました。目の前に広がっていたのは真っ白な天井。慌ただしく動き回る人達の気配がする。
「つかさ!」
女の人の声。僕はぼうっとする頭を働かせる。だけど、何も分からない。僕は誰で、ここはどこで、僕は何をしていたのか、なぜここにいるのか。分からないことだらけだった。
少しして、医者と思われる男の人がやってきた。安西先生と言うらしい。その人は、僕にいくつかの僕に関する質問をした。僕はその質問のすべてに答えることができなかった。
だけど僕は、日常生活において必要なことはきちんと覚えていた。僕は僕に関する記憶だけを失っていたようだ。
[渡辺つかさ]
これが僕の名前らしい。
安西先生が教えてくれた。安西先生は他にも僕のことを教えてくれた。大学2年生で一人暮らしをしてること、両親はもう亡くなっていること。
安西先生が話しているのを僕は他人事のように聞いていた。どうしても自分のことだとは思えなかったのだ。
そんな僕の様子を見かねて、とりあえず、今日はゆっくり休むようにと言われ、僕は素直に休むことにした。
明日、僕の友達という2人が会いに来てくれるらしい。
先生が病室を出ていく前にふと気になったことを聞いてみた。
「どうして、僕の名前や境遇を知っているんですか?」
「ああ、俺のことも忘れてるのか、、、」
少し悲しそうに呟いたあと、先生は教えてくれた。
「つかさは、よくこの病院に通ってたんだよ。つかさの両親がとても心配性でね。それに、つかさの両親が亡くなってからも何回もこの病院に来てるから覚えてるよ。」
「そうなんですね。ごめんなさい、覚えてなくて、、、」
「いいんだよ、気にしないでゆっくりと記憶を取り戻していけば。今日はもう休みな。」
そう言って安西先生は病室を出ていった。
僕は1人になった病室でゆっくりと考える。でも、結局何も思い出せなかった。

嘘だらけの君へ

まだまだ続きます。少しずつ書いて行きます。

嘘だらけの君へ

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更新日
登録日
2017-10-24

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