真実

嗄鳥鳴夏

夢は色鮮やかで
僕はそれを見ていた
空から僕を見下ろす星は輝いていた
いつか色を失うことも知らずに
幼い僕はいつまでも透き通っていて
変わることは無かった
汚れることは無かった

愛はどす黒くて
僕はそれを知らなかった
遠くから僕に別れを告げる夕日は照れていて
誰かを愛しているようだった
あの頃の残像は今でもたまに姿を現して
笑っているようだ
何も気付こうとしないまま

ねえ目を覚まして 
もしも君が今笑っていたなら
僕も笑っているんだからね
君が目を閉ざして
何時間経ったって信じない
僕は真実を隠し通すよ

花瓶が割れていて
僕は犯人じゃなかった
だけど大声で呼び出されて叱られた
僕は疑われた僕を責めた
あの時の記憶は何故かヒビが入っていて
都合が悪かった
だから嘘を貫いた

海は揺れていて
僕は砂浜にいた
汗をかいて働く人は暑苦しくて
大人にならないと決めた
アルバムに閉じた写真が古びていて
時の流れを感じた
触れた風を感じた

ねえ耳をすまして
もしも君にこの言葉が届くのなら
僕は抱きしめていないよ
君が耳を塞いで
何も聞こえなくても構わないよ
僕は真実を愛しているよ

雪が降ってきても
僕は傍に居るからね
二人で仲良く雪だるまになって
そして朝が来ればきっと
どうしてここで寝てたのって
二人で笑っておはようと言えるはずだからね

真実

真実

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-10-23

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