消毒液と表彰式

藤里 圭

消毒液と表彰式


全員の誕生日を覚えていることが
思いやりの証明ならば
私はとんだ人でなしだ

素晴らしい人間に与えられる賞状
他人の名前が書いてある
賞状は固い、扱いづらいし指を切る
偉い人の判子に私の血が飛び散る

額縁も硬くて妙に大きくて邪魔になる
高いところに飾りましょう
誰の邪魔にもならないように

月明かりについて呟くことには価値がなく
今日の株の値動きについて呟くことには価値がある

そういう世界で生きてるので、
私はとんだ人でなしで、
生涯一枚も賞状を貰えないのだった

貧血で倒れた私の上に
トロフィーが落ちてくる
数学教師にシーツをかけられ
今日があの子の誕生日だと知らされる

仲良しなんでしょう

そう言われたら
首が絞まった

鎖骨のあたりを掻きむしりながら
自分の切れた指を心配した

こくごのひとりごと


きみの、リスト、の中に、わたしの名前が無いことは、さほどショックではありませんでした

わたしは、最初から、いつでも、そうでした、

ひと、を、いちず、に、思うなら、

そういうことも、受け止めなければいけないって、教科書、絵本、大辞典、ぜんぶに、書いてありましたよ

きっとね、きっとね、

ちゃんと、行間を読めないと、生きていけないって、生まれた時から、わかっていました

なにも、かなしいことなんて、ありません、

きっとね、きっとね、

消毒液と表彰式

消毒液と表彰式

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-10-22

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  1. 消毒液と表彰式
  2. こくごのひとりごと