ただ、撃たれる、

ただ、撃たれる、




   



   



   



   



   

蝉の音色にすべて消される、

ただ、

撃たれる、

宿業の初七日、

朝。




「好きな曲です」と

映画の曲を教えてくれた

まだ優しい音があった

命の着信音

苦悶の息を

知らず

非情だった

死を知らせた数行

音が消えた

生きていてくれた七日前

最後の声色

拾えなかった断腸の呵責

全方位の蝉の鳴き声が

無機質な雑音で責めた。




   



   



   



   



   

ただ、撃たれる、

最後の電話に出られなかった。

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ただ、撃たれる、

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-10-21

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