帰り道の詩

藤里 圭

夕焼けの詩


本音、正論は、
この世で1番、
純真無垢な暴力です

私はこの暴力に
いつもいつも打ちのめされます
いつもいつも青痣が絶えません

泣き顔は、この暴力を、
より、悪化させます、ので、
私は次のカタルシスまで
お道化のお面をかぶります

本音や正論は言葉だけではありません
生まれながらに正しさを有している
皆様方の、表情であり、声であり、姿形でもあるのです

お道化のお面に砂をぶつけられます

私には夕日のあかりだけが頼りでした
夕日のあかりだけ私の顔を濡らします

病院の帰り道

光る地面に、映る
ビニール傘の、ペティコート
どんなスカートにも、
劣らなかった

私のスニーカーが
前髪に隠された私の表情を笑う
細く黒いプラスチックの骨は、
私を押し退けて、
水たまりに自分を映す

雨の日、誰よりも、美しくなる
雨の日、誰よりも、気高くなる

傘を持つ手が震えている、
私の含羞を弄ぶ
濡れた地面に晒される

俯き歩く私を笑う

反射する光に怯む
ウィンカーに潰された右目に
涙を浮かべている

暗雲に向き合う気高さが
私にはどこまでも重かった
消費される力強さが
私にはどこまでも苦しかった

薬局が、立ち並ぶ
どこに入るか悩む私に苛立って
スニーカーは踊る、乱暴に踊る、
私は、転ぶ、今日は、頭を、打ち過ぎた、

傘は、飛ぶ
傘は、自由だった
最後まで、私を笑っていた
私の含羞を、雨水に晒して、悦んでいた

帰り道の詩


雨上がりの街に
私の抜け殻が落ちている
白く光って蛇みたい

下校途中の小学生が
悲鳴をあげて喜んでいる

水たまりは私を避ける
抜け殻が車に轢かれている

タイヤ痕が焼き付けられた

私には、
点線の向こうがわからなかった

向こう側は、
飴色の光が、
粒子になって、
降っている、

やわらかい、やさしい、なつかしい、

影を、
無くして、
私は、
いないことに、
なりたかった、

振り返ることも出来なくなった私に、
時計はとてもよそよそしい

私がいなくてもよくなったのは、
いつからだったのだろうか、

それでも今日は、
夕餉の支度をして、
私は温かいごはんと、
温かい味噌汁を、
お腹いっぱい
食べる予定となっている

失態、失敗、失言

全部に潰されながら、

私は白いご飯を、

口に運ぶ、

その動作に、

不穏なところなど、

何1つない、

それが、

正しい生き方のように、

まるで、

正しい人間のように

帰り道の詩

帰り道の詩

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-10-20

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  1. 夕焼けの詩
  2. 病院の帰り道
  3. 帰り道の詩