三ツ編み

三ツ編み

向日町ひなの

私の屍で貴方は
三つ編みをして下さい

其の慣れた手付きで
貴方が善い匂いだと云った此の髪で
三つ編みを作って下さい


首だけを湯船からちょこんと出して
逆上せる身体と頬を染めながら
貴方に洗って貰った此の髪で
三つ編みを作って下さい


ガムシロップ二つ入りのアイスティーに
お下げの先が浸かってる事にも気付かずに
ガムシロップ無しのブラックコーヒーを
ちびちびと啜りながら貴方は
私では無い何処かを見て居ました


私はガーリックトーストを二つ頼みました
ジントニック二杯で酔っ払った貴方と
大声で笑いながら夜の街を歩きました
何て陽気な二人なんでしょう
私の髪には其の間もずっと
貴方のラッキーストライクの煙が染み付いて
ガムシロップ付きのお下げの先は
愈々固まってぱりぱりになります


指通りの悪い私の髪を
貴方は何度も撫でてくれました
だから
私の屍で三つ編みをして下さい


全てが0か2だと思っていた
私と貴方の世界

其れが3だと気付いて了った
2では上手く絡まり合わないのだと

ラッキーストライクはあと三本だった
最寄駅まで三駅の貴方は
私の頭を三回撫でて
振り返らずにホームへ消えた


三回鳴った、携帯の着信音

私たちの世界は3だった


だから、如何か、また其の優しい手付きで
冷たくなった私の髪を
三つ編みにして下さい

三ツ編み

三ツ編み

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-10-19

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