口紅の詩

死んでしまったチョコレート
夕焼け小焼けの焼失都市

漂う煤煙
この街の
哀愁に捧げる沈黙が
私のブーツを落ち葉に埋める

冬が来る頃
居留守を使って湯を沸かす
あなたがいないバレンタイン

勇気を出したコーラルピンク
星空に描く放物線
虚飾に満ちた捨て台詞

手首を縛る紙袋
中に入った下心

好き、のち、後、付け

かつての清廉潔白、かつての無垢、

未来で微笑むカタルシス

雪の下に埋めておく
ごめんねごめんね
ゆるしてね

好きなの好きなの
ゆるしてね

あなたが好きなの
ごめんなさい

敬虔な私は
あなたに傾倒し、
あなたを心酔し、
あなたを崇拝し、

「尊敬」って言葉が、裸足で逃げ出すほどに、

慟哭する私の繊弱な心臓が
冬を点滴薬と見紛うほどに

黙認された2月たち
スモーキーピンクに遺言を

口紅の詩

口紅の詩

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-10-12

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