箱根の夏

夏期休暇を二日ほど。


節電の夏。


暑さから逃れるように、箱根にドライブに出かけました。



皆さん、やっぱり箱根は、さすがは避暑地。


都心と比べると、空気の爽やかさが違います。


私は、肺を患っていたときにしばらく甲羅に逗留しておりましたので(※嘘です)、

箱根は、


第2のふるさと。



別名、


第2のふるさと。



と呼んでおります。



私は、地元の人しか知らない、


絶景ポイント。


別名、




梅宮辰夫の別荘。




に車を走らせました。


たつ兄の別荘とは言っても、ただの崖に面した更地です。



だって、勝手に呼んでいるだけだもの。




山の中腹、足柄峠を左手に据え、芦ノ湖と富士山の形がくっきりと、なだらかな曲線を描いています。



残暑厳しい中でも、まだまだ新緑が美しい。


同じ緑といってもいろいろあるんですね。


薄い黄色がかった緑もあれば、色濃いフレッシュグリーン。紅葉には時期が早すぎますが、紅がかった緑もあります。

それから、ピッコロのような緑に、デンデのような緑、ネイルのような緑に、マジュニアのような緑…。


全部同じですね。


それから、忘れちゃいけない、五月みどり。


もう、いいですね。

てゆうか今、8月ですし。



おっと、こんなにも胸打つ景色を目の前にして、残念。
キャメラを忘れてしまいました。



私は、両手の親指と人差し指をクロスして四角形を作り、片目を覗きこみながら、ぱしゃりぱしゃりとつぶやきました。



キャメラ、忘れちゃいました…。




でもいいんです。
だって、この素敵な景色は持ち帰れませんから。


紅葉の季節は一体どうなっちゃうんでしょうね。



さて、この素晴らしい景色を目の前にして、胸高ぶらない埼玉県民はいません。


私は、大きく息を吸い込んでから、



「ヤッホホーッッッ!」



と叫びました。



いいですかみなさん。


「ヤッホー」ではなく、「ヤッホホー」ですよ。



ヤッホーだと、山にこだまきよしして、アタックチャンス!と返ってくるのですが…


すいません。



ともかく、ヤッホーだとこだまして、


ヤッホー、ヤッホー、ヤッホー、ヤッホー、ヤッホー、アタックチャンス、ヤッホー…


と、単純に同じ言葉がリピートアフターミーされますよね。



しかし、ヤッホホーだと、

ヤッホホ、ヤッホホ、ヤッホホ、ヤッホホ、ヤッホホ、ヤッホホー!


と、末語の、



ー←



の部分がうまい具合に輪唱されて、非常にリズミカルな感じになるんです。


確か、“お母様とご一緒”でも、はいだしょうこが、

「ワイワイヤイヤイ、ヤッホホー!」

ってお歌を口ずさんでましたよね。


きっとお子さんの脳の活性化にもイイんだと思います。





知りませんけど。




ぜひ、ドモホルンリンクルを頼む前に一度お試しください。無料です。



ただ、叫んだ瞬間、崖下のみかん畑にいた少女がビクッ!と肩をすくめて、全力で走って逃げていきましたけどね。



いいんです。



旅の恥はかきのもとひとまろ。
分け入っても分け入っても山頭火。


と昔から言うじゃありませんか。




だって、ここは避暑地ですもの。



さて、素晴らしい景色を堪能した後は、遅い昼食です。


車を走らせ、山を下ります。


箱根の山はイイですね。


カーヴにも風情がある。


“いろは坂”もいいんですけどね。


いろは坂は、坂の「ろ」の払いの部分あたりのカーヴで、深夜におっさんと女子高生が車内でアン・アン・アンパンマンじゃなくて、援交しているのを目撃してからイヤになりました。


一体おっさん、女子校生になんのいろはを教えてるんだ!ってね。


いろは坂はなんにも悪くないんですけどね。



おっと、無駄話をしていたら、カーヴでふくらんで、危うく湖に入水自殺するところでした。


ここは玉川上水じゃありませんからね。ふふ、危ない危ない。



昼食は、湯本にある洋食屋スコットでいただきます。文豪たちも愛した懐かしの洋食です。

私のオススメは“カニクリームコロッケ”。

私ほどの常連ともなると、“カニクリームコロッケ”と、手を挙げて、ウェイターを呼んで発音しただけで、ちゃんとウェイターが品物を持ってきます。


非常に美味です。


ついつい8個も食べてしまいました。



明治生まれの馴染みの女中(アラウンド・ワンハンドレット)が、



「ワキミズさんってホント若い頃の志賀直哉そっくり。ウットリしちゃう。」



と、深みのある私の容姿を見つめながら潤んだ瞳(緑内障なのかもしれませんが)で桃色吐息を吐きかけてくるので、私も調子にのって、



きのさきっぽにて!!


きのさきっぽにて!!!


と手を上下にバタバタさせながら、下ネタを繰りだすと、若い女中からウェイターから客からどっかんどっかん笑いがおきました。


以前、


スカートの中を暗夜行路!



で大失敗をしているので、反省が生かせました。


我ながら最低なオトナになってしまったものです。



でもいいんです。


ここは避暑地なんですから。


美しい景色に、馴染みのお店に美味しい料理、そして温かいひとびと。



最高です。



出発が遅かったためもう陽が傾いてきました(斜陽)。


今日は温泉にでも入って疲れを癒します。



明日はなにをしようかな。




※次の日は、テンションが上がりすぎたのか、原因不明の高熱、嘔吐、下痢に襲われ、甲羅の病院で胃キャメラを撮られ、一日を終えました。

箱根の夏

箱根の夏

日本の夏。箱根の夏。 楽しい楽しい文学散歩。

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 青春
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-08-27

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