採点結果


「マッチ箱を取ってください」

冷たくなった指先に原始の雪が落ちる

から瓶に詰められた冷え切った声は
無くなった体温を探している

体温は幻だった、最初から、

から瓶に長いこと居たせいで
そんな事実気付くわけがない

「郵便ポストに脈拍はありませんよ」

何百万回と朝を迎えても
その冷たい光に慣れることはない

通勤途中に道に迷うことも
多々ある

ビジネスメールの書き方を
曇り空に求めているようでは
いけない、
らしい

何百万回と遅刻を繰り返す私に
春も夏も存在しなかった

私は裁判に負けていたのだ
何百万回と裁かれた私に
熱というものは与えられなかった

「明けない夜は無いと証明せよ」

空欄ばかりの答案用紙

再試を繰り返す私に
思い出は与えられなかった

漢字ドリルも計算ドリルも
存在の意味ばかりを問うてたら
教師は真空管に教科書を詰めた

試験官に蒸気機関車の夢を聞くことは
いけない、
らしい

マグカップにお湯は入らない
いつも冷水ばかり入っていた

道のりは求められてばかりで
誰も歩いてくれなかった

煙の中から夕日を眺めている
背後の朝日を黙殺する

採点結果

採点結果

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-10-08

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