おこづかいね、ぜんぶ寄付したの

おこづかいね、ぜんぶ寄付したの


   



   



   



   



   



“あたし、リルを採点なんてしない”

それでも

二度と

なにひとつも 言えなかった


眼が 覚めないまま

一日ごとに思い出せなくなる気がした

いつか


川べりからの風 うすく

おまえがあこがれたこの街がくたびれて


遺した言葉が 少し見つからない

一日ばかりが長くなった


まだ 嫉妬するなんてさ

怒られるだろうか 引き抜く点滴もなく


からからの 渋谷

吹かれた お守りのピアス

立ったまま眠った子 消えて


「おこづかいね、六千円、もうぜんぶ寄付したの」

 もうどこにもいない


くやしかっただろうか

モルヒネは

   魂の苦悶を解いただろうか


携帯  無音に果てて

追いかけ尽きたい ずっと前 声を枯らして


「捧げるから、命だって」

笑って、生きる意味、問うた、あの二日前


混じりあって

      溶けた

一番大切な求めだけ いつも秘められた


「病気の前だったあたしと生きてることへの感謝を語りたいの」


たちどまってくれ

もう一度みてくれ

聴いていてくれ  ここにいたなら


見つけていられるなら

傷が

何ヶ月でも

何年でも

一生でさえもよいかもしれなかった



   



   



   



   



   

おこづかいね、ぜんぶ寄付したの

今日はとても冷える。気候が変わるのが寂しい。

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おこづかいね、ぜんぶ寄付したの

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-10-05

Copyrighted
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