真実
君に触れるこの手がとても虚しくなるのは何故だろうか。
私の近くにいる、触れている、その時は私の心は幸せに満ちる。
けれど触れた手を離した瞬間、私の心の中には穴が空く。
それは小さな小さな穴だが、時間が経つにつれてどんどん広がって行く。
私は一分一秒でも共に居たい、そう願うのに、人生というものは如何やらそうも行かないらしい。
世界は酷く平等なのだ。
世界は酷いほど平等なのだ。
その願いは私だけではないのだ。
私はそれに抗う術も知らない、無知な男なのだ。
けれどその願いは私の中に何時迄もあり続ける。
無くなることなんてありはしない。
言葉にしてもその願いは叶わない。
けれど私はいつだって君を愛している。
願いが叶わなくても、私の心は変わることはない。
私は無慈悲で自己中心的なのだ。
自分だけ願いが叶えばいいなんて思ってしまっている。
こんな私に天罰が下る事などおかしくはない。
神を欺く方法も知らない。
私は抗おうとするだけだ。
やはり嘘はつけない、欺くことはできない。
こんな男で、君は幻滅するだろうか。
けれど君を愛しているという事実だけは揺るぎない真実なのだ。
真実