元風俗嬢リカの憂鬱
1 ニートから風俗嬢へ
風俗嬢は、はっきり言って人に誇れるものじゃない。友達にも、家族にも、嘘をつきながら暮らさなくちゃならない。懐は温まるものの、心はいつも寒さに震えている。けれど、そんな底を舐める生き方だって、あっていいじゃないか。
私は、今現在も悩みながら働いている風俗嬢たちにエールを送りたい。
この物語が、嘘か本当か、それは読む人が決めればいい。
これは一応、私の過去の物語だ。誰にも誇れない物語。
1 ニートからの脱出
面倒くさいな。
それが私の口癖だった。口に言わなくても心の中で思う口癖ってあると思う。
私は社会に出ることに自信が持てなかった。学生の頃から、頭が弱く、甘ったれた根性をしていたため、人には「できない子」とイメージをもたれていた。
それは親からもそうで、次女よりも出来の悪い私の事をお母さんはよく貶した。
面倒くさい。そう思うのが最大の罪だったと思う。やる気が起きない子供だった。理由は何故だか分からない。がんばってがんばっても、抜け道がなく、ゴールも見えなかったからかもしれない。
20歳、大学を辞めた。私のために金を払うなんて、お母さんはきっと望んでないと思ったからだ。それから、私自身、私を見限っていた。低い自尊心、私の心にはいつもそれが付きまとう。
辞めることを大学の教授に申し出たら、「何だかすっきりした顔になったわね」と言われた。内心は、不安でいっぱいだった。
何事も、結局最後まで自分を信じきれずに辞めてしまう。いつものパターンだった。
そして私は家でゴロゴロするようになった。正直その頃の記憶があまりない。やっぱり印象に残ってなかったのだと思う。ただ、お父さんに「早く働けよ」と怒鳴られた事があったのは覚えてる。その時、私は確か逆切れをして家を出ていった。夜道を散歩しながら私は思った。「何で生きてんだろ」
夜風は冷たく当たってきた。「お前の人生なんか知らないよ」
そう言われてるようだった。
家はそんなに裕福でなく、心も貧しかった。私の人生に構うほど、親は余裕がない。
涙が出た。誰かに頼りたいという思いと、それが出来ないという思い。
私は、自分がちゃんとお金を稼いだら、家の中がもっと険悪にならないと思った。
だから、ある日の夜に、私は決断した。家の中のベッドの中で、皆が寝静まった頃、一人でサイトを調べた。
夜の仕事情報サイト。
私はそれをクリックした。
元風俗嬢リカの憂鬱