寝物語
ねぇ。わたしにもひとくち残しておいてよ。
のど渇いたよ。汗かいたし、それに、この部屋暑いよね。
ほら、シーツの上にビールこぼしてるって。
うん。今日は泊まってく。明日の一限目、休校なんだ。卒業制作もどうにか見通しついてきたし。
なんかこのビールぬるいな。ずっと置きっ放しだったからなぁ。
冷たいの冷蔵庫から持ってきてよ
ついでに窓、少しだけ開けてくれる。ううん、冷房つけるほどじゃないよ。
だいたい彼女アパートに呼ぶときくらい、部屋の掃除しときなさいよ。
え? じゃあ普段どんなに汚いんだよ。
わたしの服、踏まないでぇ!
……だって、君が脱がしたんだろ。
バスタオルなんか巻いちゃって、今更恥ずかしがってどうすんだって!
ねぇ。古代ローマの彫刻みたいな格好してみてよ。ムキムキの男の人がポーズとってるやつ。そうそう。
バスタオルなんかとりなさいよ。男らしくないなぁ。
キャハァ、君、こうやって見ると結構いい体してるね。ミケランジェロに見せてやりたいよ。
ハイ、もういいよ。早くビール持って戻っておいでぇ。
もうちょっとこっち来ても大丈夫だよ。狭いよこのベッド。もっと大きいの買いなよ。ハハァ―― この部屋にダブルベッドなんて置いたら、住むとこ無くなっちゃうか。ベッドの上でこうやってゴロゴロしながら生きていくのも素敵だけどね。
窓あけたらけっこういい風入るね。
ん? 高校時代? そりゃ付き合ってた人ぐらいいたよ。
じゃあ君はどうなのよ?
まぁ、気にならないわけではないけどさぁ。
ずるいよ。そっちから先に話しなよ。
そんならじゃんけんで決めるかぁ……
……
前に話したことあったっけ? わたしが育ったのは九州の海辺の町で、けっこう田舎なのよ。映画館もないような町。
高校の同級生なんだけどね。
一度も同じクラスになったことなかったんだ。高三になるまで話もしたことなかったの。
わたしは美術部で、美術室がグラウンドのすぐ隣にあったんだ。
放課後、部活で絵を描いていると、窓越しに陸上部が練習してるのが見えるんだよ。
静物画のデッサンとかしてるときに、ふと顔を上げて窓を見ると、一人の男子が駆け抜けていくの。
まるで風みたいに。
彼は坂本君といって、陸上部のキャプテンだったんだ。他の男子も同じように走ってるんだよ。でも、坂本君だけ違うんだよね。
スピードも速かったけど、足の上げ方とか、腕の振り方とか、髪の毛のなびき方とか、よく分からないけどぜんぜん違うの。
坂本君が走ると景色が変わるんだ。
何ていうのかなぁ。背景は色がなくなって、坂本君だけがカラーなの。スタートして、わたしの前まで来たとき、一瞬時間が止まるんだ。もちろんそういうふうに見えるってことだよ。真剣な眼差しでまっすぐ先を見つめてるの。首筋に汗の玉が光っててさぁ。足の筋肉がすごくしなやかなんだ。まるで一点の絵画みたいで、すべての均衡がとれてて、それはもうパーフェクトなんだよ。
次の瞬間、時間が一気に戻ってきて、坂本君が風になって駆け抜けていくの。
美術室にいるわたしにまでその風が届く気がしたんだ。もちろん、窓は閉まってるし、そんなことあるわけないんだけどさぁ。
カッコよかったんだぁ。
それから坂本君とは生徒会で一緒になったの。
実は坂本君が立候補したのを知って、それからわたしも立候補したんだけどね。
こう見えてもわたし、けっこう人気者だったんだよ。
わたしが一位当選で委員長、坂本君が二位で副委員長だった。ちょっと申し訳ない気はしたけど、公正な選挙の結果だから仕方ないよね。
で、初めての委員会があって、こっちとしてはドキドキよ。憧れの人だからね。意外にそういうの駄目なんだよ。ぎこちなくなっちゃってさぁ。話さなくちゃいけないと思うと、何も言葉が出てこないの。普段はお喋りなのにバカみたい。
最初に何話したか覚えてないなぁ。多分すごくくだらないこと喋ってたんだと思うよ。学内の風紀がどうのとか、廊下を走らないようにしましょうみたいなこと。
で、委員会を繰り返すうちに、まぁ、委員長と副委員長だからね、当然普通に話すようにはなってさぁ、それで、どっちが先に誘ったのか忘れちゃったけど、デートもするようになったんだ。
え? だから忘れちゃったって。
どっちが誘ってもいいじゃんそんなの。
デートっていっても九州の田舎だから、海辺を散歩したり、自転車乗ったり、せいぜいバスで隣の町まで映画見に行くぐらいなんだけどね。
でも、楽しかったなぁ。
あのころが、一番楽しかったかな……
高三の夏に、恋のお守りに桜貝をペアで持つのがはやってさぁ。放課後、坂本君と二人で海岸まで探しに行ったんだ。
それが、なかなか見つからないんだよ。
どうにか一枚はあったんだけど、もう一枚がどうしても見つからないんだ。
一生懸命探したんだけどなぁ。
だんだん、日が落ちてきて、今日中に見つけられないと、二人の恋が壊れちゃうような気がしてきてさぁ、必死に探したんだ。
わたしは高校卒業したら東京の美大に行こうって決めてたし、坂本君は実家が酒蔵で、進学しないで仕事を手伝うことになってたんだ。
卒業したら離れ離れになるの、お互い薄々感じてたんだよね。
――あのときの夕日は綺麗だったなぁ。
でも、だんだん周りが暗くなってくるのね。太陽は完全に沈んでしまって、輝くようなオレンジだった空が少しずつ青みを帯びて、紫色に変わっていくの。そのうち何も見えなくなってきちゃって、でも、空には不自然なくらい星がたくさん光ってるのよ。
二人で泣きべそかきながら探したんだよね。
……
結局もう一つの桜貝は見つからなかったんだ。
でさぁ、次の日の朝にね。なんと坂本君が桜貝もってくるんだよ。ピンク色の貝が朝日に照らされてさ、まるで宝石みたいに光ってるんだ。学校来る前に海岸行ったらあったよ。なんてさらっと言うんだよ。坂本君の家って海とは逆の方だし、昨日あれだけ二人で探してなかったんだから、簡単に見つかるはずないんだ。
絶対昨日わたしと別れた後に、懐中電灯持って一人で探したんだよ。もしかしたら朝まで探してたのかも知れない。何か制服汚かったもん。
バカだろ? 本当にバカだよ。
まぁね、持ってるよ。秘密の場所にしまってある。宝物なんだ。
ねぇ。ワイン飲もうよ。さっきコンビニで買ってきたやつ、流しの横に転がってるから持ってきて。君も付き合いなよ。いいよいいよ、コップで。ワイン開けるやつも持ってきてね。引き出しの中にあった気がするけど。あった?
ハイ、そこで止まってダビデ像のポーズ。よーし、いい子だいい子だ。すごいセクシーだよ。早くこっちおいでぇ。
大丈夫だよ。このぐらいじゃ酔ってないよ。
まあね。坂本君とだよ。初めてのキスはけっこう悲惨だったんだよ。聞きたいの? わたしの次は君が話すんだからね。
付き合ってから二ヶ月くらい経ったころだから、7月の初めで、まだ梅雨が明けてなかったんだと思うんだ。朝から重苦しい曇が空を覆ってて、蒸し暑い日だった。
海沿いの道を自転車で二人並んで走って、家から五キロくらい離れた所にある展望台に向かってたんだ。展望台は岬の先端にあって、確かに景色はいいんだけど、天気の悪い日にわざわざ行くようなところじゃないんだよ。一緒にいる理由があれば、実際どこでもよかったんだよね、場所なんて。
しばらく行くと上り坂になって、わたしは坂本君に付いていくだけで必死。汗が噴出して、湿気がすごいから汗が体にまとわりついて、ベトベトなのよ。汗臭くなるのが嫌だなぁって、そのことばっかり考えてた。
坂を上りきったところに公園があって、その突き当たりに展望台があるんだけど、やっと公園の入口が見えてきたときに、いきなり大粒の雨が降り始めたの。雨の勢いはどんどん強くなって、いわゆる土砂降り。
どうにか公園までたどり着いて、行ったわよ展望台まで。ここまで着たんだから、そりゃ意地でも行くよ。昼間とは思えないほど、周りは薄暗くなって、雨に霞んで景色なんて見えやしないの。一面灰色の世界でね、海と空がごちゃ混ぜになったような気がして、なんだか怖くなって、すぐに帰ることにした。
土砂降りの中、自転車で坂道下ったことある? むちゃくちゃ気持いいんだ。暑かったし、身体は汗でベトベトだったからさぁ。二人で分けわかんない奇声あげてさぁ。フュウーウーって。本当に気持ちよかったんだ。もう最高だったよ。
全身ずぶ濡れになって家の近くまで帰ってきたんだけど、このまま別れるのは何だか名残惜しくて、国道沿いにあった無人野菜売り場の軒先で雨宿りしたの。空缶に百円玉入れて、野菜一袋勝手に持っていってってとこ。三畳くらいの小屋で、地元で採れた野菜が棚に並んでるの。
さすがに雨の中自転車でずっと走ってたから、身体は冷えきってて、二人並んでると、近くにいる坂本君の温もりが伝わってくるんだ。その狭い空間がとても暖かく感じた。雨は相変わらず勢いが強くて、雨の音以外何も聞こえないの。空はいっそう暗くなって、二人で海の底の小さな気泡の中にいるような気持ちになった。
二人ともまさしく濡れねずみみたいになっててさぁ、可笑しいやら恥ずかしいやらでニヤニヤしてるしかなかったんだ。
さすがのわたしも何も話せなくなっちゃってさぁ。まぁ、坂本君にちょっとチャンスをあげようって気もなかったとは言わないけど……
なんとなく目が合って、どちらかが耐え切れなくなって目を逸らす。そしてまた、なんとなく目を合わせてしまう。そんなのの繰りし。
わたし、じれったくなっちゃって、見詰め合った目を閉じたの。
目を閉じたまま待ったわ。雨の音だけが世界を包んで、時間が本当に止まったのかと思った。いつくるか、いつくるかって、ドキドキしながら目を閉じて待ってたの。
でも、何も起こらないんだ。薄目を開けると、坂本君真っ赤な顔して、俺帰るわ、って飛び出していちゃった。まってよ、ってわたしが言ったときには、坂本君、雨の中自転車で猛ダッシュで遠ざかっていくの。
ねえねえ君、――笑いすぎ。ここそんな笑うところじゃないから……
まあ確かに、当時のわたしも情けないやら腹が立つやらで泣きたくなったよ。二人でいたときはあんな幸せな空間だっのに、一人になるとなんとも寒々しい場所なのよ。屋根はトタンだから、それに当たる雨の音がいっそう喧しくって。通りには人はおろか、車も通らなくてね。世界にたった一人取り残されたような気がしてきて、だんだん不安になってくるの。あんなことして坂本君に嫌われたんじゃないかとか、そもそも坂本君わたしのことそんなに好きじゃなかったんじゃないかとか。本当に涙が出そうになって、この雨の中一人で自転車乗って帰るの嫌だなって思ってたんだ。わたしの家はもう近いんだけど、二人で雨の中自転車に乗るとの一人で乗るのとじゃ、ゼンゼン意味が違ってくるでしょ。
でもここにいてもしょうがないから、帰ろうと自転車に手をかけたとき、目の前に自転車がすごい勢いで止まったの。坂本君が戻ってきたの。ずぶ濡れのまま自転車降りるといきなりわたしのこと抱きしめてきて、
――キスされた。
多分坂本君、飛び出して、途中で思い直して慌てて戻ってきたんだと思うんだ。決意をして、全力で自転車漕いで戻ってきたんだと思う。で、そのままの勢いでしちゃったんだよね。
何しろ呼吸が乱れててさぁ、
――鼻息がすごいんだよ。
わたしもキスするの初めてだしね。こんなに鼻息って聞こえるんだって、ショックだったんだよ。わたしの鼻息聞かれるの恥ずかしいから、息止めてたの。
坂本君、キス止めるタイミングが分からなかったんだろうね、いつまでも離れないんだよ。呼吸止めるのにも限界がきて、わたしも鼻で息したんだけど、苦しいの我慢してたんだから、そりゃぁ荒くなるよねぇ。自分の鼻息がフーガーフーガー聞こえるのよ。坂本君の鼻息がフーガーフーガー。わたしの鼻息がフーガーフーガー。それが重なってね、聞いているうちに可笑しくなってきちゃって、笑っちゃいけないって思うと、余計可笑しくなって。耐え切れなくなって、坂本君突き飛ばして大爆笑。しばらく笑い転げてたら、坂本君、本気で怒り始めちゃってさ。まさか鼻息が原因なんて言えないからさ、言い訳するのにずいぶん苦労したよ。
だからわたしのファーストキスの思い出の場所は、無人野菜売り場で、キスの味は鼻息の音。あっこれ味じゃないか。
何でそんな真面目な顔してんの。君、飲みが足んないんだよ。このワインけっこう美味しいって。何だ君、わたしの酒が飲めないとでも言うのかい? なんちって――
大丈夫だよ、明日一限目休校て言ったじゃん。
わたし、酔っ払うとなんか余計なことまで喋りすぎちゃうんだよね。前も、失敗したんだ。わたしの母さんも酒癖悪いんだよ。もう今日はこれくらいにしとくわ……
ほら、君はもっと飲みなさぁい。
えー、じゃぁ、わたしはあと一杯だけね。えぇー、何でそんなこときくかなぁ。もー、あとで君も話すんだぞ。
そうですよ。確かに、坂本君ですよ。
坂本君の家は、酒蔵なんだけどさぁ、住んでる家とは別なのよ。お母さんもさぁ、仕事手伝ってたからさ、昼間は家に坂本君しかいないんだよ。
そうそう。坂本君は一人っ子で、跡取り息子で、ん? なんだっけ……まぁいいや。
まぁ、ありきたりだけど、坂本君の部屋でね。お互い初めてだったからさぁ、なんかえらくぎこちなかったけどね。まぁ、何とか無事に――ハハァ
夏休みが過ぎると、わたしも受験勉強忙しくなってきて、逢える時間も少なくなってくるじゃない。半年後には別れなきゃいけないって分かってたし、やっぱり逢ってるあいだくらいずっとそばにいたいじゃん。だからさぁ、ずっと坂本君の部屋にいたんだ。
坂本君の部屋は一階にあって、お母さんが突然帰ってくるかもしんないから、部屋の窓を全部閉め切ってカーテンも閉めてさ。薄暗い部屋で、蒸し暑くてさ。若かったしね。覚えたてだしね。
汗だくでさぁ、わたしも坂本君も。わたしの汗と坂本君の汗が混じりあってさぁ、ドロドロになって溶け合って、一つに成れたような気がしたんだよね。
何か酔っ払っちゃったなぁ――
そんな目で睨まないでよ。 そっちが話せって言うから話したんだろ。本当のことなんだからしょうがないじゃん。
まあね、……別れたよ。
東京と九州で遠距離恋愛って実際には無理だと思ったし、だんだん連絡が途絶えて、自然消滅みたいになるのが怖かったんだ。わたしが東京に出てくる日にきっぱり別れた。
そりゃ泣いたよ。わたしが大学に合格した日から、出発の日まで毎日泣いてたよ。
東京行くの止めちゃおうかなって言ったら、坂本君はさぁ、俺のためにお前がが夢を諦めるのは耐えられない、とか言うんだよ。カッコつけちゃってさ……
……いい奴なんだよ、坂本君は。
だから…… わたしも簡単に夢を諦めちゃいけないんだ…………
わたしが東京へ発つ日。そう、坂本君との別れの日。
両親が空港まで送ってくれることになってて、出発の前に坂本君と逢ってたんだ。自転車で海岸まで行って、二人で手を握って、何も話せなくて、海の青さが眩しくて、出発の時間だけが容赦なく近づいてくるんだ。
別れると決めてたから、もし今度、何かで逢うことがあったとしても、そのときの二人の関係はまったく違うものになってるんだ。この気持ちのまま逢えるのは、今が最後なんだって。握った手を離せなかった。離したらもう本当にこれで終わりなんだ。二人で歩いたこの海岸も、坂本君の部屋で過ごした日々も、坂本君がわたしにかけてくれた優しい言葉の意味も。すべてがこの手を離した瞬間に変わってしまうんだと思った。
時間は刻一刻と過ぎていく。わたしからはどうしても手を離せなかった。
もしこのまま二人でどこかに隠れていて、飛行機の時間に遅れてしまえば、多分いろんな問題に直面するかもしれないけど、少なくとも明日までは坂本君と一緒にいることができる。坂本君とどこかに、それは納屋の裏とか、そういった場所かもしれないけど、場所なんてどこだってかまわないんだ、とにかく坂本君と一緒に時間を過ごすことができる。わたしはその誘惑に逆らうことができなかった。大学も、自分の夢も、親との関係も、自分自身のことも、そして坂本君のことまでも、なにがなんだか分からなくなっていて、もうどうでもよく成っちゃって、投げやりで、無責任で、多分自堕落で……
わたしの思考は完全に止まってて、坂本君のことを考えることさえできないくらいで、ただ、心だけが坂本君を求めていた。純粋に心と身体が坂本君を求めていたの。
でも、言うんだよ坂本君が…… 時間だから行け、って……
坂本君声震えてたよ。でも泣いてなかった。わたしの目を見つめて、行けって……
最後までいいカッコしぃでさぁ、やんなっちゃうよ。
ん? もういいや。ちょっと飲みすぎたかも――
未練なんかないよ。ただ、時々思い出すことはあるけど……
あんまり帰省してないかな。でも、年に一度くらいは親もうるさいし、帰ってるよ。
ううん。あの日以来坂本君とは、会ってないし、連絡も取ってない。九州に帰ったときにも連絡してないよ。
もし会っちゃったら、また別れるの辛くなっちゃうし、もうあんな辛いのやだよ。だから連絡しない。他の友達には会ってるから、多分、坂本君もわたしが帰ってるの分かってるかもしれないよね。でも坂本君から連絡とってくることもないよ。
坂本君優しいから……
なに? 怒ってんの?
……
ばーか。
君のこと好きだよ。この柔らかい唇も好きだし、わき腹のこのホクロもセクシーで好き。このチッチャイお尻も好き。フフゥ……ここも好き…… そうだね、実は君の身体が目当てかもよ。
――やめてよぉ。ダメで・す……
ハイ。これでわたしの話はおしまい。今度は君の番だよ。
…………なにぃ?
……
ねぇ、一番最初の彼女はどんな子だったの?
やめてよ……
そうやってごまかそうとしてるでしょぅ……
ちゃんと答えなさいよ。
やだぁ。
ダメだって、そんなことしたら――
もぉ、ずるいんだからぁ
……
……
窓、あいてるからぁ――
……
……ぁ
寝物語
読んでいただき、ありがとうございました。