クローバーと時計
クローバーの夜はサイレンを鳴らす
シュシュで括った茶色い髪の毛
長靴履いて6月を目指す
現在の地点から6月は遠い
時間について感じることは
肌の上をぬるま湯のように
漂うように浮かぶように
つまり掴めなくて
よくわからなくて
なんでみんな時計を信仰するのか
たまに本当にわからなくなる
20歳を過ぎれば全部が全部
きちんと頭陀袋に収まると
そんな気持ちで生きていた
生きていたというより数えていた
私は今日まで単純明快に
数を数えて生きていた
つまり時間なんて存在しない
クローバーの夜に生きることもできる
6月を目指して歩けばいいことに気がつく
ひとまず長靴を履く
傾く世界に笑みを浮かべて
シュシュは水玉模様を選ぶ
6月は優しいから
時間が存在しないなら
6月で生きているのがこの生に易しい
茶色い髪の毛が日差しを受ける
色素が薄くなっていく
これは日差しと私の問題であって
時間が介入できることではない
クローバーの夜に
坂道を自転車で上がってく
6月がその先にあると知っていた
6月にシュシュを結んだ私をあげる
時計信仰の世界で
救われなかった私をあげる
全部あげて
クローバーの夜はサイレンを聴く
眠りながら
クローバーの夜はサイレンを聴く
クローバーと時計