家族もどき

相変わらず暗くてぐちゃぐちゃしたお話です、苦手な方は戻るをお勧めします

自分の部屋に入って、一番に目がいってしまったのは、部屋の中心にある赤い人間だった

正確に言うならばこの人間は元から赤い訳では無く、自分の血で赤く染まっているようだ

そして次に目を向けたのはその人間の腹部に刺さっている刃物

あれは確か、自分の5つ上の姉が初めて購入した包丁、だったような気がする

耳にたこが出来るほど自慢をさせられたのにはっきりと断言はできない

魚を切るための包丁だから切れ味が相当いいのかもしれない

とりあえず僕はそこまで考えるとその人間を跨いで自分の机に鞄を置いた

べちゃっと足元で音がした、下を見ると学校指定の白い靴下がじわじわと赤く染まっていた

しまった、避けたつもりなのにソイツの血溜りに足を入れてしまったみたいだ

不快な感覚がしたので僕は靴下を脱ぎ捨てた、どうせもう使えないだろう

そして僕はベッドに寝転がった、幸いこちらは無事だったようだ、よかった

しかし何なんだろうこの赤い人間は

仰向けになってはいるものの顔には全く見覚えがない

着ている服装からして姉でもおばあちゃんでもない

かと言って自分には女装趣味の家族なんていないので、お父さんや弟でもない

じゃあ誰なんだろうか?というかそもそもなんで僕の部屋にいるんだろうか

誰がこいつの包丁を突き刺したんだろうか、そういえば僕は警察に電話をするべきなんだろうか

くるくると頭の中で色んな考えが浮かぶものの「どうでもいい」という思考がちらほらちらつくので僕は考えるのをやめた


まずは家に誰かいないか確認してこよう


そう思った僕はまたもその人間を跨いで部屋を出た

あんなところで堂々と寝てる方が悪い、僕の部屋で僕が何しようがそれは僕の勝手だ、どうでもいいか

弟の部屋の前に立つ、もう夜も近いし部屋の中にいるはずだ

僕はノックをした・・・返事は無い

もう一度ノックをする、でも部屋からは何の音も聞こえない

僕は弟の部屋の扉を開けた

そこで目についたのはまたも赤い人間

背中にびっしりと鋏を突き刺された、赤い人間、うつ伏せではあるけれど、僕はそれが弟「だったもの」だとすぐに分かった

部屋には異臭がたちこもっていた、思わず吐いてしまいそうな異臭

弟だったものの血は、腐った鮪みたいな色をしていた

だからこんな異臭がするのか、納得

それにしても弟はいつこんな風になっちゃったんだろう

僕は今朝弟と話をした、好きな女の子がいるという極普通の話だった

つまり今朝の時点では普通の仲良し兄弟だったんだ

僕は少し混乱をした、この状況に怒りも悲しみも感じない自分に戸惑いを感じていた

怒りも悲しみも感じること自体がおかしいんだけど、感じないとそれはそれでおかしいからね

ということで、僕は次にお父さんを探すことにした

今日は仕事お休みだった筈だからこの家のどこかにいるはずだ


そう思って僕は1階に続く階段に向かった

でも下りることはできなかった

理由は階段の下で、四肢をあちこちに曲げた姉「だったもの」がいたから

首は180度こっちに曲がっていた、だらしなく伸びた舌が何か怖かった

それにしても、姉だったものはいつからこうなってたんだろう

さっき僕が帰ってきたときにはこんなの無かったのに

姉だったものは階段から転げ落ちたんだろう、でも階段には満遍なく血がこびりついていたからさっきの2体にどっか刺されてるのかもしれない

でも気持ちが悪いので僕は2階にいることにした

自分の部屋にも弟の部屋にも赤い人間がいるので僕はお父さんの書斎に向かった

書斎の中は幸いにも赤くはなっていなかった

でも机の前には座り込んで白目向いているお父さんがいた

あれ、お父さんはお父さんなんだろうか、お父さんだったものなんだろうか

僕はそれを確認するために近づいた

そしたらなんと、お父さんはまだ脈が動いてた

僕は少し驚いた、でも驚いたのは一瞬だけだった

僕はお父さんの万年筆を手に取った

駄目だよおとうさん、ちゃんとxんでくれないと

折角今まで僕はちゃんとxしてない人間として喋っていたのに

xぬとかxすとかあんまりよくないかなって思って、姉「だったもの」とか何とか言っちゃってちゃんとx体扱いしないであげたんだよ

僕はお父さんをお父さん「だったもの」にするために万年筆をお父さんの目に刺し込んだ

変な音がしたけどこれで晴れてお父さんも「だったもの」だ

みんななんで僕がこんなことしたんだろうって驚いてたんだろうなぁ

でも仕方ないじゃん、だってお父さんがお母さん「だったもの」を連れてきたんだから

おばあちゃん以外みんなお母さん「だったもの」を受け入れようとしたんだから

僕を僕「だったもの」にしようとしたあの人間を、受け入れようとしたんだから

これは正当防衛なんだよ、自分の身を守るためにしたんだよ

僕は悪くないもんね、みんなが悪いんだもんね、そうだよね、おxさん?

僕はこれから何をしようか考えた

とりあえずおなかが空いたので、おばあちゃんの家に晩御飯を食べに行こうかと思う

家族もどき

ちょこちょこいじりながら書いたのでつじつまの合わない部分があったかもしれません、その辺は目をそむけていただけると嬉しいです

家族もどき

少年が自分の部屋に入ると、そこには赤い女「だったもの」が倒れていた

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-08-26

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted