柿の実
今年も色づき始める小さな柿の実
風にあおられ予選落ちした青い実を眺めながら重ねる苦い思い
いく歳も いく歳も…色づき
そんな夢を感じながら眺める四季の柿の木
ツクツクボウシが鳴き始めた秋の始まり
ずっと、
ずっと、
ずっと、
落ちることなく
寒い冬に優しく付けた小さな新芽
その手でちぎられると幻を見ていた
あの春の日
夏の日差しに笑顔いっぱいだった新緑
さわさわと まだ緑の葉を落とし始めた秋
時経てば また
同じ四季の繰り返しに
いつか 響きわたる 枝間の不音な風
気づいていたのに
赤い実をちぎるその手が暖かい事を
音もなく落ちる赤い実
柿の実