柿の実

今年も色づき始める小さな柿の実

風にあおられ予選落ちした青い実を眺めながら重ねる苦い思い
いく歳も いく歳も…色づき
そんな夢を感じながら眺める四季の柿の木

ツクツクボウシが鳴き始めた秋の始まり

ずっと、
ずっと、
ずっと、

落ちることなく

寒い冬に優しく付けた小さな新芽

その手でちぎられると幻を見ていた
あの春の日

夏の日差しに笑顔いっぱいだった新緑



さわさわと まだ緑の葉を落とし始めた秋

時経てば また

同じ四季の繰り返しに

いつか 響きわたる 枝間の不音な風

気づいていたのに

赤い実をちぎるその手が暖かい事を

音もなく落ちる赤い実

柿の実

柿の実

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-09-21

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