白い月
枯れ木に愛を囁いた
月がそれを見ている
蒼い空にぽっかり浮かぶ
白い月
枯れ木に囁く愛を
白い月は聞いていた
「白々しい」
月は呟いた
私は見上げた
白い月を見上げた
「あなたも白い」
私は笑った
枯れ木に寄り添う
ぬくもりはない
鼓動もない
生命力の絶えた
やがて潰える
枯れ木に寄り添う
熱い吐息を吹きかける
蒼い空に月が浮かぶ
白い光を放っている
「嘘じゃないよ」
月を見上げた
私は微笑する
白い光は枯れ木を染める
私は枯れ木の陰に寄り添う
月は何も言わない
ただただ白いだけの月が
蒼い空に居続けるだけであった
白い月