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1時間と10分。
部屋の時計がずれている。
その事に今日まで僕は気付かなかった。
単3電池を入れた頃に正しく合わせたはずの時間が少しずつ、少しずつずれていたのに
気づいたのは70分も経った後だった。

どうしてもっと早く気づく事が出来なかったんだろう。
どうして気づいていない事にしてしまったんだろう。

もしも何か1つでも違う人生だったら。
今ここに自分は存在していなかったかもしれない。けれど、なにかがいい方向に向いて
いたかもしれない。

1時間と10分。
ずれたままの時計を直す事が出来ないのが僕の人生だろうか。
今日も部屋の時計は正しい時間を知らない。

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  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-09-10

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