飛ばない烏
烏が飛ばない
虚脱した神経のまま
水溜りに浮かぶ
黒猫が心配そうに眺める
メジロは俯向く
スズメはおしゃべりなまま
烏が飛ばない
空は動揺する
大地は眠っている
虚脱した神経
空を見上げることもしない
私は出勤途中何度も卒倒しかける
黒い背中を見て呼吸を忘れる
烏が飛ばない
そのまま世界は回る
私は酸欠
黒猫は歩き出した
メジロは傾いた
スズメは喉を痛めた
烏が飛ばないなら、
私も飛ばない
声も上げず
烏がいない空を見る
ざわめいている空
精神疾患気味である
私は錠剤を血液に溶かした
烏がいない不安定な空を
空虚な目で見ていた
飛ばない烏