ファムファタル・エレジー

ファムファタル・エレジー


   



   



   



   



   



   



 



でかいおっぱいなんか、おれはいらない。



   







   








ちっともきれいじゃないときの   きみのことをかんがえる。


       「音楽が降ってきたの。   突然 降ってきたの。


            乾いた天気雨みたいだった。    だからずぶぬれ」



   







   







   

母さんのこと大嫌いな    きみのことをかんがえる。


       
   「歴史のお勉強して  すっかりアンニュイしちゃって


      すっかり あたしは  健康的なおしまい すりきらしてた」



   







   







おうちまでの帰り方 すっかり忘れちまった   きみのことをかんがえる。



    「長い間の習慣   完全に捨てることにしたの。



       たくさんの猜疑心   完全に終わったあとで



          女を浪費する あたしのこと  見損なったあとで」




   







   







キューバリブレで潰れた後の カフェバーで   エスプレッソと煙草でうつろう


       きみのことをかんがえる。


   「ちっちゃな楽しみなんて   なんなのかわかんない



       あたし自身の 行く先のこと  かんがえて



           いつか定刻きっかりに  執行はやってくるの」



   







   







独りきりの部屋で  ジャンヌ・モローの あの台詞を暗記してる


きみのことを   かんがえる。


  「どこかのだれかにむかって   いつか衝突するの


              
        こわれた頭に  吹き込んでほしいの



     きっと そのだれかは  石炭色の瞳



            あたしとおなじ  やせっぽちの 自傷テロリスト



       あたしは  その誰だかわかんない 誰かの



         髪の毛ひとすじ のこさず    



                かっさらう」
  


   







   







きみのことを    かんがえている。


こんな 化け物の正体を    見破ってくれたかい?

   



   



   



   



   



   



 

ファムファタル・エレジー

20年くらい前に書いたものを作り直した。
今ではこういうものは作れない。歳をとったから。

作者ツイッター https://twitter.com/2_vich
先端KANQ38ツイッター https://twitter.com/kanq3

ファムファタル・エレジー

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-09-07

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