閑話
藤里 圭
微睡みの中で、幻が抱き締めてきた
「寂しい思いをさせたね」
いい匂いがする
幻の腕の中
優しすぎて泣きそうになる
欲しいものを、欲しい言葉を
幻は全てくれた
固有名詞で呼びたくなるけれど
現実の「彼」が薄らいでいく気がして
わたしは言葉を紡げなかった
それすら許してくれる
わたしが創った幻
わたしが愛した幻
「1人で生きていくんなら」
連れて行くこともできる
甘い誘いに頷くとも首を振るとも
できないまま
わたしは瞼を閉じた
閑話
藤里 圭
微睡みの中で、幻が抱き締めてきた
「寂しい思いをさせたね」
いい匂いがする
幻の腕の中
優しすぎて泣きそうになる
欲しいものを、欲しい言葉を
幻は全てくれた
固有名詞で呼びたくなるけれど
現実の「彼」が薄らいでいく気がして
わたしは言葉を紡げなかった
それすら許してくれる
わたしが創った幻
わたしが愛した幻
「1人で生きていくんなら」
連れて行くこともできる
甘い誘いに頷くとも首を振るとも
できないまま
わたしは瞼を閉じた
閑話