たとえば

例えばこんなものを想像してくれ
野原の真ん中にポツンと球体がある
金色で周りの景色を反射する
それを見て君は何を思うか

  球に映る私の顔は美しいか
  それは今まで何を映してきたか
  触ったら温かいだろうか
  どこまでも転がして行けるだろうか

例えばこんなものを想像してくれ
君は一人で崖の上に立っている
前も後ろも右も左も崖で
そこで君は何を思うか

  いつまでそこにいるのだろうか
  日差しが強くてかなわない
  吹きっさらしじゃ眠れない
  明日の天気はどうなるか

例えばこんなものを想像してくれ
だだっ広い海原で
君は一人小舟を漕ぐ
その時君は何を思うか

  一人であっても孤独ではない
  海が冷たくても
  吹きっさらしでも
  いずれ空と海原を真っ赤に染めて
  日が沈むだろう
  そしてその恍惚の余韻と
  夜の静けさで
  私は安らかに眠りにつく
  もう何も思わない

たとえば

たとえば

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-09-05

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