珈琲だったら帰って来てから。


浮き輪が誘う本棚に
昨日の本は見当たらない。
ベッドは浅瀬の高さ使用。
眼鏡を探す顔は起きてる。





パッチワークの毛布をたたむ。
今日の模様はカモメが表。
郵便屋さんもチャイム押す。
お待ち下さい もう少し。





伝票欄は潮風に喜ぶ。
波も寄せて返してる。
届いて気持ち茹で卵,
適度な味わい効いてくる。





黒電話と一緒に書き込む
32日のスケジューリング。
間違ってると誰も言わずに
素敵なカニが横に歩く。





背広が似合う背格好。
シートベルトはお休みの今日。
水色のパンツに履き変えました
お風呂上りの小さいアイス,





齧って味を確かめる。
海の匂いは思い出す塩,
砂糖の隣に並べてる。





白でなくてもいいといって,
メモ用紙を残してる。
不思議なくらいに甘い文字,





二つ折りで仕舞ってる。
しょうがないからとサイフを手に持つ。
バスのチケットお手軽に
替えるコインがキラキラする。





作りたての鍵ははしゃぐ。
初めての外を想像してる。
何があるの?と聞かないのは
勿体無いの気持ちに似てる。





数学者の本は本棚に,
仕舞わない玄関に住んでいた。
そして立ててた襟の縞模様,
難しいことを言ってなかった。





設定していない冷房のタイマーは
お気をつけてと声かける。
有難うと内開きのドア,
開けていうこと 見つけてる。




行ってきます。
東向きの玄関から,
また帰ってくるよ。

珈琲だったら帰って来てから。

珈琲だったら帰って来てから。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-08-22

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