敗北者の矜恃

藤里 圭

「誰かがあの子を褒めてたらそれで安心?」

「あの子が他人の価値観で美しいという形容詞を与えられたら安心?」

「そんなあの子と付き合える自分なら安心できる?」

「他人が良いというあの子と付き合えたらあなたはそれで成功したと言えるの?」

あなたが聞いたんでしょう?

最後まで聞きなさい。

答えてあげるわ。

はっきり言うわ。

「私なら、そんな価値観まっぴらよ。」

私はね、私が好きになった人がもしも世界中から嫌われていることを知ったって今までと変わらず好きでいる。

私はね、私が好きになった人がもしも他人から醜いと言われても、私が美しいと思うから(あなたは美しい)、と私が死ぬ瞬間まで形容する。

私が好きになった人が自信が持てずに辛いなら私の命が続く間は、(あなたは美しい)と、囁いてあげる。

私はね、私が好きになった人と一緒になれるならその瞬間から私の人生を晩年と呼んでやる。
だって私の旅は終わったも同然なのだから。

私はね、私が好きになった人と一緒になったことを他人に嘲られてもそんな雑音きっと耳に入らない。

だって好きになった人と一緒になれるならその人の声しか耳に入らないから。

さぁ、はっきり言ってあげるわ。

「あなたの好きはあなたの好きじゃない。」

「あなたの好きは他人から侵された好きよ。」

「あなたが欲しいのは他者からの賞賛で、あの子はその手段でしょう?」

そんなあなたを愚かだと思うわ。
いいえ、愚かだと断言できるわ。

「でも、好きよ。」

私は、愚かなあなたが世界で1番好き。

あなたが、私を見てくれないことは、
よくわかったわ。

でも、あなたが持ってるあの子への
好きと、
私が持ってるあなたへの
好きは
全然重さが違うわ。

恋が勝ち負けであったなら、先に惚れた方が負けだと言うなら、私は潔く負けを認める。

私はあなたを好きになった日からあなたに負け続けている。

私の思いがあなたを不幸にするのなら、私はあなたへの接触を一切断ち切るわ。


「でも、好きは勝ちよ。」

あなたには永遠に分からないでしょうけど。

私の思いは確かに本物だって、今日心の底から思えたわ。

だから今日、私が失恋したとしても、私の勝ちは未来永劫揺るがないの。

敗北者の矜恃

敗北者の矜恃

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-09-01

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