終着点

藤里 圭

ここには全てがある
それはつまり

ここが終着点

「私はうっかり迷い込んでしまいました」

何も準備もなしに
全てのルールを無視して

終着点、
味気ない

「私はすっかり悟ってしまいました」

大きな悲しみがあった
欲しいものが遠かった

神様にお願いしたくても
欲しいものの形がわからなかった

欲しいものが遠過ぎて
私にはわからなかった

「私にはこの先が無くなってしまいました」

欲しいものが遠いほど
欲しいものは曖昧になる

欲しいものが遠いほど
欲しい気持ちは強くなる

全てがある
その終着点に来ても

全ての中に欲しいものが
あったとしても

やっぱり私には
手に入れることができなかった

「うっかり迷い込んでしまった場合」

私は帰り方がわからなかったけど
帰り方は全ての中に存在していたので
私は帰り方を知ることができた

全てがあるのに
手に残ったのはここからの帰り方だけ

全てがあっても
手に入らないものがある

手に入らないもの
それすら全てであった

終着点

終着点

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-08-31

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