ライフ オンライン

安田 セン

プロローグ

【ライフ オンライン】

二千五十年一月一日、0時00分にサービスが始まる世界でも類を見ない政府が作ったVRMMOだった。

今この日本は少子化が深刻化していた。
ロボットやAIの発達により二千三十年頃、人の仕事の半数がロボット達に置き換わっていた。それにより職場の数が激減し就職率が低下。
そして就職率の低下に合わせ日本の結婚率も低下していった。理由は金銭問題。その報告を受け日本政府はある手段に出た。だがそれは新たに職を作るでもなく一つのソフトを作り上げた。
【ライフ オンライン】
それはゲーム内で稼いだお金を現実側に持っていけるというものだった。だがそれでもかなり厳しい物でもあった。ゲーム内硬貨の十円は現実でいう一円。
通信費は毎月千円。
そしてなにより初回生産の数の少なさだった。
初回生産は約一万個。
発売日は二千四十九年の十二月三十一日だった。
職が無いものはそれを手に入れる為一ヶ月待つという狂人も現れた程だった。
そして今二千四十九十年十二月三十一日、二十三時五十九分日本にいるユーザー一万人がサービス開始を今か今かと待ちわびていた。

スタート!!

俺はサービスが始まった瞬間にログイン出来るよう布団に横たわっていた。頭にはヘッドギアが有った。
政府が作ったゲーム【ライフ オンライン】はまさかの年齢無制限。なのでまだ高校一年である〈秋 悠馬〉でもゲームに参加できた。奇跡的に百人に無料プレゼントキャンペーンでこれを手に入れた時は正直驚いた。

「よし!」

と悠馬は気合を入れた。

「アイ、あと何分だ?」

「はい、後一分程です。」

と少女の声をしたのは人ではない。VR機品は脳とのやり取りを行うため一人一人の脳波を撮ってたらきりが無いという事で全VR機品にはAIが内蔵されてある。
それを使い成長に伴って脳に送る電気信号を調節したりする。だが更に凄いのは人との会話を不自然さを全く感じさせない程の自然な対話にケータイに登録すればそのAIを外に持ち出す事も可能なのだ。
このAIである〈アイ〉と出会ったのは約二年前。
VRマシンを買って初めて仮想世界にログインした時に出会った。
その時既に自然対話は可能だったが言語の種類が増え、たまに胸に刺さるような事を言ってくるようになった。

「開始十秒前!」

と声が響くとフルダイブスタンバイのスイッチを入れた。すると目の前数字が浮かび上がる。数字はアイの言葉と同時に五から始まり数を減らしていった。

「・・・ん、にい、いち、ぜろ!」

とアイが言うと目の前が真っ暗になる。すると一筋の光が見えそれはどんどん強くなり現実の俺の体の感覚が遠くなっていった。数秒の浮遊感が終わると硬質な地面に足が着くのを感じた。
するとアバター作成画面が出現しアバターネーム入力画面が浮かび上がった。
悠馬は〈YUU〉と入力した。次は武器のマークが出現した。武器の種類は全七種類。その中で至極一般的な片手剣のマークを押した。そして画面は消えアナウンスが流れる。

「アバターの容姿は自動生成です。
このままゲームの世界に行きますか?」

と聞こえると丸バツのマークが浮かび上がると悠馬は迷わず丸を押した。

「では【ライフ オンライン】の世界お送りします。」

そして再び浮遊感が訪れ柔らかな地面を踏みしめる。
そして草木の匂いが漂って来た。

「ここが【ライフ オンライン】の世界・・・。」

そこには無限と思える程の草原が広がっていた。少し周りを見渡すと近くに大きな街があった。
その光景を眺めていると大きな光点が目の前に出現した。小さな妖精が出現した。

「無事ログインできたみたいですね。」

「アイ、なのか?」

「はい、この世界ではこの姿みたいです。
可愛いからってイタズラはダメですよ。」

とウインクありの上目で行って来た。容姿が可愛い過ぎるあまりドキッと来たがなんとか平常心を保った。

「しないよ。じゃあまずあの街に行ってみるか。」

と良い悠馬は歩き出すと後方で次々とプレイヤーが出現し始めた。数はドンドンましぱっと見百人以上はいた。だがそれでも出現エフェクトは止まる事なく次々と出現する。

「うわぁー。」

と言いながら街の方に視線を向け悠馬は再び街に向かい歩き出した。

街の門に足を積み込むと街の名所が目の前に現れた。
〈オリジン〉それがこの街の名前だった。何人ものNPCが店を構えていた。

「アイ。メニュー画面ってどうやって呼び出すんだ?」

「メニューと唱えれるみたいです。」

アイにありがとうと言いアイに教えもらった通りコマンドを唱える

「メニュー!」

するとメニュー画面が出現した。画面右には0Gの文字があった。これが今の所持金なの一目でわかったがその他のメニューに目を通すと全て英語表記ではあったが比較的簡単な英語が並んでいるだけで特に困る事はなかった。試しにskillと書かれた文字をクリックしてみると悠馬は停止した。そこには何もなく白紙の画面が広がっていた。

「アイ。これはどういう事だ。スキル画面に何も書かれてないぞ。」

「ちょっと待ってください。」

と目を閉じて一秒、二秒、そして目を開けた。

「スキル取得は数あるクエストをクリアをして行く必要があるようです。」

「じゃあ、まずはクエストをクリアして行ってスキル取得を優先して行くか。アイ、スキル取得クエストを受けられる場所はわかるか?」

「はい。クエストボードが設置してあるようです。ここを真っ直ぐいくとあるようです。」

しばらく歩くと大きな木製の板が建っていた。
そこにはいくつもの紙が張り出してあった。
だが内容は全く読めない。試しに悠馬がその板に触れるとクエスト画面が出現した。一番上にあったクエストをクリックすると内容と報酬が書かれた画面が出現した。

【内容】
モンスターの討伐
サージウルフ5体
【報酬】
500G
HPポーション 1本
EXP200

悠馬はスキル取得が無い事をみると画面を閉じた。
スライドしていくと〈片手剣の心得〉の文字を見つけクリックすると画面が出現した。

【内容】
モンスターの討伐
ソードゴブリン3体
【報酬】
片手剣スキル取得
EXP150


「よしこれだ。」

と言い丸ボタンをクリックするとクエストを受注の文字が浮かび上がる。
そして悠馬はメニューと言いメニュー画面を出しquestの文字をクリックし〈片手剣の心得〉をクリックする。
すると内容の横に地図のマークがあった。
そしてそれをクリックするとマップが出現し赤い光点が点滅していた。

「じゃあ、行くか。」

とアイに言うとはい!と返事が返って来た。そして悠馬は街の門に向かうとたくさんのプレイヤーが街に入って来ていた。全員が入りきるのを待つと悠馬は門から街の外に出ると〈始まりの草原〉の文字が浮かび上がり消えた。

街を出てから道なりに歩いて行くと小さな洞窟があった。ソードゴブリンがいるのはどうやらあそこらしい。洞窟の中はほぼ真っ暗だったが僅かに奥で焚き火の様な光が揺らいでいた。足音を最低限消しながら近づき小さな岩に身を隠し首を覗かせると小さな人影が三体。耳が異様に大きく黄色い目をギョロつかせ、肌の色は緑色。どこのゲームでもいるゴブリンそのものだった。片手には刃こぼれして鈍い光を放つ剣が握られていた。フォーカスするとゴブリンの頭の上に名前が浮かび上がる。
〈sword goblin〉その名前を確認し悠馬は背中にある剣を静かに抜いた。
そして、脚に力を入れ全力ダッシュで接近して一体目のゴブリンに不意打ちのバックアタックボーナス入りのクリティカルが入り一体目のゴブリンの体力ゲージがたった一撃で八割近く減った。更にもう一撃を頭部を捉えゴブリンは爆散した。その攻撃でゴブリン達は怒り狂った用に声を荒げた。悠馬の体力ゲージの横に赤い光点が光る。タゲを取られている事を知らせる物だ。
残りの二体は剣を振りかぶり飛びかかって来た。
悠馬は居合の構えをとった。

「ふっ!」

と小さく声をだし剣を抜き放つと二体のゴブリンの首を捉えた。首はクリティカルポイントだった様で二体のゴブリンの首が身体から分離すると空中で不自然な体制で停止し爆散した。そして目の前にクエストクリアの文字が浮かび上がる。後はもう一度クエストボードに行きクエストクリアとなる。

「お見事です!」

とアイが拍手しながらやって来た。

「前回やっていたゲームのお陰ですね。」

「まあな。じゃあもう一度街に戻ろう。」

と言い悠馬は街に戻った。
ちなみにソードゴブリンから得た経験値と金は

EXP60
ゴールド30

だった。それとドロップアイテムはゴブリンの目玉とか言う気色悪いものだった。しかも二つ。
街に戻りクエストボードに触れるとクエスト画面が出現した。だがクエストクリアはできなかった。

「あれ?」

「クエストクリア報告は別の場所みたいです。そこにいるお兄さんNPCに話しかければいいみたいです。」

わかったとアイに言いお兄さんNPCに話しかけた。

「すいません、クエスト報告しに来ました。」

するとクエストを画面が出現する。クリアしたクエスト〈片手剣の心得〉をクリックし報告ボタンを押すとクエストクリアと浮かび上がる。そして盛大なファンファーレ音がなった。レベルが上がったと画面が浮かび上がる。更に片手剣スキル取得の文字が浮かび上がった。
すかさずメニュー画面を開きスキル画面を出現させた。
画面の右上には3pの文字があった。おそらくさっきのレベルアップにより手に入れたスキルポイントなのだろうと思った。
スキル画面に新しく片手剣のマークがありクリックするとスキルツリーが出現した。
見るといきなりの分岐点があった。分岐は二つ。

一つは片手剣装備時攻撃力5%上昇。

二つ目はスキル名だった。
〈スラッシュ〉
単発技 攻撃力120%補正。

悠馬は迷わずスラッシュをクリックし確認画面が出現し丸ボタンを押すと〈スラッシュ〉を習得しましたと文字が浮かび上がる。そして画面に発動する型が記された。

「じゃあ今日はここまでかな。」

時間を見ると一時を示していた。さすがに眠いと思いメニューを呼び出しログアウトした。

目を開けるとそこは一時間前に寝ていたベットの上だった。しばらく天井を眺めボーッとしていた。

「悠馬、少しいいですか?」

とケータイからアイの声が聞こえた。

「ん、なんだ。」

「これを見てください。運営が【ライフ オンライン】の細かい説明を公式ホームページにアップロードしました。」

【ライフ オンライン】は日本政府が作ったゲームだ。
今まで発売日が書かれていただけで細かな情報は一切記載されていなかった。ただ仮想世界のお金を十分の一単位で現実に持ってくると言う情報だけだった。

「なんで今頃。」

アイが呼び出した画面を見るとたくさんの文が記載してあった。
だが特に変わった物は無かった。何処でも見るゲームの世界観や武器の種類が書かれてあった。
これならもっと早く出しても良かったんじゃと思い文書の最後の行に目が止まった。


【ライフ オンライン】の通貨を現実側の通貨に変える事について。
通貨変換は十万円からですのでお気をつけください。


つまりゲーム内では百万ゴールドでやっと現実側に持ってこれると言う事だ。
悠馬はその文を読み何故こんな設定にしたのか疑問を持った。別にそんな事をする必要性は無いように思えた。
なので悠馬は気にせずページを閉じた。

「でも、これって相当キツくないか?一回やっただけだけどクエストやってもそんなにもらえそうに無かったよな。」

「はい、現時点最高入手額は六百ゴールドです。
ですが、エリアボスを倒し新たなエリアに行くと入手額も一気に増量するみたいです。」

「なるほどな。じゃあボスはどれくらい強いかわかるか?」

「レベルを上げて装備をしっかりと整えてレイドやパーティを組んだりすれば困る事はないと思います。」

「そこも普通のゲームなんら変わらないな。じゃあ、明日は次の村に向かいながらレベルアップに励むか。」

「それが一番だと思います。悠馬が寝ている間にある程度情報を集めといてあげますね。」

「ああ、頼む。じゃあ、おやすみ。」

「はい、おやすみなさいなのです。」

エリアボス

「さて、次の村に向かうか。」

冬休みという事もあり早朝から悠馬はログインしていた。時刻は午前七時。普通なら親にグチグチと言われるだろうが悠馬の家には誰もいない。
両親は共働きで母は月に二、三度帰ってくる程度。
父は年に一度帰ってくるかどうくらいだった。
兄弟はいない。
なので誰にも邪魔される事はない。

「この街を出て真っ直ぐ行き森を抜けるとあるみたいですよ。もうかなりのプレイヤーがそこに向かっています。後それともう一つ。ここで受注したクエストは別の場所でも報告可能なので受注して行く事をオススメしますよ。」

「情報収集はしっかりやったみたいだな。ありがとな。」

「私にはこれくらいしか出来ませんので。その代わり何処かで美味しい食べ物奢ってくださいね。」

「食べ物なんてあるのか?」

「調査済みです。しかも食べ物によってはバフが付く物もあるみたいですよ。」

「マジか!じゃあ片っ端から食いまくるか!」

「ぜひ、そうしましょう!」

と二人で頷き合った。

「じゃあ、まずは小遣い集めだな。クエスト受注したら直ぐに出発しよう。」

そして悠馬はアイのオススメクエストを受注。全部で三つ。討伐クエストが二つ。採取クエストが一つ。
アイが徹夜して調べた物だ。どれも次の村に着く時には完了できるだろう物を集めたらしい。

「よし、行くか。」

と悠馬は街から出た。
〈始まりの草原〉
それは見渡す限り殆どが草原だった。スタート時見渡した限りでもかなり広い事はわかっていた。遠くに木がいくつも連なる場所があった。

「あそこだよな。」

「はい、あそこが目的の森です。」

「結構遠く感じるけどVRの中だから疲れる心配は無いから走って行くか。」

「採取クエストの物を見落としたりしないでくださいよ。」

「わかってるよ。」

と言い悠馬は走り出した。すると目の前に小型のモンスターが現れた。名は〈serge wolf〉意味は羊毛の狼。
今回の討伐クエストの討伐対象だ。
悠馬は脚を止める事なく剣を抜きサージウルフに向かって行った。サージウルフは悠馬の存在に気付き飛びかかって来た。悠馬は剣を下段に構え切り上げた。
サージウルフの下顎に命中した。体力ゲージが三割程減る。そしてサージウルフは宙を舞って仰け反り状態の一時的スタン状態にだった。
悠馬は上段に構える。そしてズパァッンと盛大なサウンド音が高らかになり剣は垂直に切り下ろされた。

これが〈スラッシュ〉だ。

見た目はただの垂直斬り。だがその攻撃には攻撃力補正も加わっており普通の攻撃より段違いに強い。
サージウルフは頭から真っ二つ割れ爆散した。

「ふぅー。」

と一息着くと今倒したサージウルフから手に入れた経験値とゴールドそれとドロップアイテムが書かれた画面が出現し悠馬は一通り見てから画面を消した。

「後四体だっけ。」

「はい。サージウルフは序盤のモンスターという事であちこちに設置されているので直ぐにクリア出来ると思います。」

それから、アイの言った通りサージウルフ次々と出現し僅か十分程でクエストをクリアした。
その後更に採取クエストを終わらせ悠馬は森の中に脚を踏み入れた。
〈静寂の森〉と森の名称が表示された。
森の中は太陽の光が僅かに差し込む程度の明かりしか無かった。
悠馬は一通り森を一通り眺め再び歩き出した。

「名前の通り物音何一つしないな。」

まあ、それが不気味とも言えるが。
・・・っ。VRの仮想の世界で感じるはずのない殺気を感じたような気がした。
振り向くと亜人種であろうモンスターが襲いかかって来ていた。咄嗟に前方へ飛び回避した。
フォーカスすると〈thief wolf〉と表示されていた。
二つ目の討伐クエストの討伐対象だ。
背中の剣を抜剣し〈スラッシュ〉を発動させた。
ジャンプ攻撃を外した際に発動する僅かな硬直時間を狙いクリティカルポイントである頭部にヒットしシーフウルフの体力ゲージは一撃で吹き飛んだ。

「危なかったな。」

「隠密スキル持ちのモンスターだったようですね。
すいません、これは情報収集不足でした。」

「気にするな。」

しかし、さっきの感覚はなんだったんだ。この世界で殺気とか六感的な物があるわけ無いのにな。気のせいか?

「ユウ周りに警戒を怠わらないでください。」

「ユウ?」

「YUUでユウではないんですか?」

「ああ、そっか。」

忘れてた。自分のアバターネーム・・・。
適当に付けるもんじゃないな。

・・・っ。まただ!今度は多いな数は三!
振り向きながら抜剣し剣を逆手持ちで持った。
まずは一体目!!
クリティカルポイントである首元に迫っただが甲高い音を立て剣は受け止められた。

「なっ!!」

悠馬は体重に身を任せ転がった。
更に三体のシーフウルフは悠馬を取り囲んだ。そして見事と言うしかない三体の息のあった連携攻撃が始まった。立て続けに甲高い音が響く。

「くおっ・・・。」

このままだと押し切られる。しかし一体目と段違いに強い。同じエリア内のモンスターとは思えないな。
でもパターンが読めれば怖がることはない!

「はああぁぁ!!」

悠馬は横薙ぎに三体のシーフウルフを薙ぎ払った。
一瞬三体の位置が横線一本に重なる瞬間がある。ここを狙えば簡単に崩せる。
ノックバックによりスタン状態になったシーフウルフのクリティカルポイントを正確に斬り裂き三体のシーフウルフは爆散した。そしてクエストクリアの文字が浮かび上がる。

「今の強かったな。アイ、理由は分かるか?」

「すいません。そこまでのアクセス権限を与えられておりませんので。私でも何が何やらです。」

「そうか。次の街に行けば何か分かるかもしれないからまず街へ行こう。」

「そうですね。ですがまだ距離があります。注意していきましょう。」

「ああ。」

悠馬は僅かなだが確かな違和感を感じながら歩き出した。
それからも何体もモンスターと戦闘を繰り広げるがあの三体みたく連携攻撃してくるモンスターはいなかった。
森に入ってから約一時間が過ぎた頃森が開けいくつも民家の光が見えた。
森が抜けた頃、悠馬のレベルは5に上がっていた。

「着いたな。」

「街というより村ですね。」

アイには街と伝えられていたので一瞬ここかと思ったらどうやらここが目的地らしい。

「まずはクエストの完了報告をしに行こう。」

「それとポーションも買っておいた方がいいと思います。今まではノーダメで来ていますがあの三体みたいに連携攻撃を使うモンスターが他にもあるかもしれませんので。」

「そうだな。その事についてもこの村である程度情報収集をしておこう。」

村の門を潜ると〈カルム村〉と表示された。

「クエスト報告は何処でするんだ。」

「村の中心にあるみたいです。」

わかった、と言い村の中心に向かうと〈オリジン〉のよりは小さいがクエストボードそれとクエスト報告のNPCが立っていた。
三つのクエストを報告すると盛大なファンファーレ音がなりレベルが6に上がった。
2から6に上がった事もありスキルポイントが8になっていた。悠馬は手に入れたスキルポイントを使い

〈片手剣装備時攻撃力5%上昇〉

〈片手剣装備時クリティカル時攻撃力3%上昇〉

の二つを習得した。

「次は情報収集だな。近くにプレイヤーがいればいいけど・・・。」

「私もプレイヤーの位置はわかりません。ネットでプレイヤーがたくさんいる場所はわかるんですが。」

「まあこの村にプレイヤーがいなかったら次の街か村に行けばいいよ。どちらにしてもエリアボスと戦う前街か村には必然とプレイヤーも集まるしモンスター達の事はそれでもいいさ。」

だがまあ、見渡した限りプレイヤーはいないがNPCの量が少なく感じる。一様村全体を見て回るか。
しかし本当に静かだな。辺りを見渡すと一軒だけ他の民家より大きい家があり目が止まった。
中に入ると沢山の薬草が並べてあった。
そしてそれをゴマすりのような物で練りこんでいるおじいさんがいた。頭の上には?マーク。
クエストが発生している証拠だ。

「クエストが発生していますね。」

「そうみたいだな。」

と言いおじいさんに話しかけてみる。

「おじいさん。何か困った事でもありますか?」

すると?マークが!マークへと変化した。

「はい。今この村ではある病いが蔓延しています。
ですがそれを治す為の薬草を盗賊達が全て一つ残らず奪って行ってしまいました。
なのでお願いです!盗賊達から薬草を取り返してください!」

するとクエスト画面が表示された。
〈盗賊達から薬草を取り返して!〉
とクエスト名が表示された。丸マークのボタンを押すとクエストが受諾されましたと表示された。

「では、お願いします。」

「はい!任せください!」

クエストを受諾し民家から出てからなるほどと実感する。だからこんなにNPCの人数が少なかったのか。

「お人良しですね。別に受け無くても良いようなクエストですよ。」

「わからないぞ。こういうクエストが案外キークエストの可能性もあったりするからな。じゃあ盗賊の巣穴って所に行くか。クエストログからここから東に行った場所にあるらしいし。」

「その前に一度装備を整えてはどうですか?後その初期武器で行くなら鍛冶屋にいって耐久値を回復させてもらった方がいいと思います。」

「そうだな~。」

悠馬はメニュー画面を呼び出しゴールドを確認する。
今までのクエストと討伐したモンスターで1500ゴールド程あった。

「お金も溜まっているし武器を新調するか。それと道具屋でポーション買い込んでから向かおう。」

武器屋で初期武器である〈ブロンズブレード〉から
〈アイアンソード〉に変え、回復ポーションを八個程買い残りの所持金は100ゴールド程になった。

「よし!行こう!」

険しい道だった。当たり前といえば当たり前たが道はとにかく歩き難い。木の根や石やらで道はゴツゴツ。水で地面が濡れていたりしてグチャクヂャ。
時々襲いかかってくるモンスター達。
そして何よりこの無意味とも言える程のリアルな感覚。
仮想世界だから肉体的疲労は無いとはいえこのリアルな感覚によって現実並みに集中力が浪費される。

「大丈夫ですか?」

とアイの心配そうに聞いてくる。

「まあ、なんとか。」

「少し休みますか?」

「とてもじゃないけどこんな所じゃあ休めないな。座り込んだりでもしたら疲労で寝てしまいかねない。その時モンスターに襲われたらたまったもんじゃないからな。」

「それもそうですね。
モンスターにやられたりするとペナルティーもあるようですし。」

「ペナルティー?」

今初めてこのゲームでペナルティーがある事を知った。どんなゲームでも大概デスペナルティーは存在する。経験値の何割か取られたり所持金の何割か取られたりする。そしてトドメのセーブポイントからのやり直し。もしくは死に戻り。よくある事は良い所まで行って最後に興奮していると初見殺しとも言える程の鬼強いモンスターが設置されていたりトラップが設置されていたりする。

「はい。このゲームでのペナルティーはまだサイトに上がっているだけのものですがかなり鬼畜仕様です。」

仮想の唾を飲み込んだ。なぜなら初めてアイがデスペナルティーの事を鬼畜仕様と言ったからだ。アイが鬼畜と言う言葉を使った時は大概半泣きになるか号泣してしまうくらい厳しいものなのだ。

「このゲームで死んでしまった場合、全アイテム、所持金を全て失います。」

「ぜ、ぜ、全部!?」

「それともう一つこれが最も鬼畜仕様だと思ったものがあります。」

「まだあるの!?」

「はい、もう一つはレベルが1に戻る事です。」

「ななな、な、ナニィィーー!!??」

聞いた事ない。全アイテム、所持金が全てロストするだけじゃなくレベルも全てロストするなんてそんな仕様があり得るのか。一度も死ぬなって言っている様なものだ。

「なので無理した戦いはしないでください。」

「りょ、了解。」

盗賊の巣穴って場所大丈夫かな。
ボスみたいのいないよな・・・。
と言うか絶対にいないでください。
お願いします。
なぜかこの世界には存在しない神に祈ってしまった。
いや、この世界にも神はいるか。
ゲームマスターとかシステムとかって言うものが・・・。

「うわ~、ほぼ真っ暗。」

外から覗くと少し松明の火が少し見える程度だった。
奥までとてもじゃないがしっかり見えなかった。

「盗賊が巣穴にするだけありますね。雰囲気が盗賊いますよ~って主張している感じですね。」

「そんな可愛い感じで言うなよ。緊張感が台無しだぞ。」

「それはすいません。では早速行きましょう。不意打ちには気をつけてくださいよ。名前からしてシーフウルフ辺りがわんさかいそうなので。」

「ヘーい。」

アイが言った通りシーフつまり盗賊の名を冠する者達がわんさかと襲い掛かってきた。
シーフウルフはもちろんな事シーフゴブリンとか言う初対面のモンスターがいた。
しかもシーフゴブリンは短剣をシーフウルフと同じ様に使うだけでは投擲攻撃を仕掛け更にその攻撃には僅かではあるがスタン効果を持つというクセ者だった。

「なんだよあの数わ!」

「今はとにかく逃げましょう!」

後ろを振り返ると通路がいっぱいになる程のモンスター達がいた。
こうなったのは経緯を説明しよう。初めは普通に倒しながら洞窟を潜っていた。だが突然他の奴とは名前が違うモンスターがいた。
名は〈Chief of a thief goblin〉意味は盗賊ゴブリンの長。
盗賊ゴブリンの長は悠馬を見つけたるなり角笛を持ち出し洞窟全体に笛の音が響き渡る。すると洞窟全体が地震の様に揺らいだと思って振り返ってみるとこの状態だ。
洞窟内は迷路の様になっており逃げるには困らないがその代わり洞窟から出られない状態だ。マップを開けばいいのだがそんな余裕はとてもじゃないがない。

「ユウ!あそこに扉が!」

とアイが指差す。角を曲がった所に扉があった。急いで開け中に飛び込む。
そして扉を横切って行くモンスター達の足音が消えだんだんと遠くなっていった。

「た、助かった。」

「はい、危なかったですね。」

フゥー、と二人で安堵の息を吐き部屋を見渡すと目の前に松明の光に照らされた二つの宝箱があった。
他にも周りは金貨などが山積みの様に置かれていた。

「ここは、宝物庫か?」

「おそらくそうでしょう。ですがあの金貨の山は単なるオブジェクトで動かす事は出来ない様ですが。」

「でも目の前には宝箱が二つある。早速開けてみよう。良い物が入っていれば良いけど・・・。」

頼むからミミック的なのはやめてくれよ。
と慎重に一つ目の宝箱を開けると画面が出てきた。

〈3000G〉を入手しました。

「おぉ!序盤では中々の大金だな!ミミックじゃなくて良かった。」

「ですがまだもう一つありますよ。こっちはミミックだったりして。」

「怖い事を言うなよな。」

と言うがやはり警戒してしまう。あるゲームでは宝箱を開けてミミックだった。そこまではまあ別に良いと思うが初ターンに即死魔法かけられパーティ全滅なんてことはザラにある。慎重に開けると一つ目と同様画面が出て来る。

〈chief's coat〉を入手しました。

盗賊のコート?と思い装備画面を開き装備概要を見る。防御力はまずまずといった所だが装備に特殊ボーナスが付与してあった。

隠密ボーナス
(隠密率10%アップ)

クリティカルボーナス
(クリティカル率5%アップ)

「おぉ!中々良い装備じゃないか!」

そして早速装備する。見た目は茶黒の目立たな色のフード付きのコートだった。
どうやらコートとはアクセサリーの分類に入るらしく、初期防具の〈ブロンズ ガード〉の上に重ね着している状態だ。

「もしかしたらこれがこのクエストクリアのキーアイテムだったりしないか?」

「その可能性は充分にあり得るかもです。」

「じゃあ早速リベンジマッチだ!」

ライフ オンライン

ライフ オンライン

【ライフ オンライン】 それは二千五十年一月一日にサービスが始まったゲームだった。 このゲームはゲーム内金を現実側に持って来れるという世界でも類を見ない政府が作ったゲームだった。しかもゲーム内通貨を現実に十分の一単位で持ってこれる物だった。 そんなゲームに一人の少年がログインする。

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • 冒険
  • アクション
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-08-28

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted
  1. プロローグ
  2. スタート!!
  3. エリアボス