陽と影

陽射しが刺さる
私の皮膚を貫通して
私の中身を全て暴いていく

「失礼極まりない」

不愉快なあまりに
わたしの顔は歪む

「お前は何でもお見通しか」

わたしの呟きは
蝉に嗤われる
そして掻き消される

騒がしい蝉には

短命という免罪符

なぜだか汗が止まらない

耐えきれず、

(陽射しに?存在に?声に?)

しゃがみこむ

わたしには何も無い
ただ、空気があるだけだった

大きな雲が不躾な陽射しを遮った
ああ、世の中には
分かり合える存在もあったんだ

そう思い出した瞬間
日陰は私を飲み込む

煙みたいなわたしの存在は
余計に曖昧になる

それに、どこかで、
安心してしまうわたしが居る

蝉の嗤い声は鮮明に
私の耳を刺し続ける

このまま、飲み込まれていたかった

大きな雲はゆっくりと
陽射しの元を離れていく

白く光る
私の腕

見ないで欲しいと願った
揺蕩う心地のままで

私は全てを蕩かしてしまいたかった

陽射しが暴く

コンクリートの上、
自分の足で立つ私を

陽射しは暴く

蝉は相変わらず嗤っている

陽と影

陽と影

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-08-27

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