ブレードクロニクルガイア(BCG)
始まり
ここはブレードクロニクルガイア(略してBCG)の世界。
仮想現実世界である。
この世界は仮想でありながら現実である世界。
「ふあぁぁあああああ」
ある木の木陰に一人の少年が寝ていた。
短めの黒髪に黒目と純粋な日本人。
いたって普通の12歳の少年。
彼の名はタクト。
タクトはこの木陰が大好きだった。
だから暇があればこの木陰で昼寝をするのが日課になっている。
「風が気持ちいいな」
「こらっ!タクト!」
「うわぁああ!」
急に怒鳴られてタクトは驚いた。
急いで起き上がると、目の前に長い黒髪の少女がいた。
この子はサチ。
タクトと同じ12歳の美少女だ。
いや、微少女です。
「もう、今日は私と一緒に森に行く予定だったでしょ」
「あ~忘れてた」
「なんですって~」
サチは腰に携えている短剣に手をかける。
タクトはすぐに立ち上がってごまかす。
「冗談だって。俺が忘れるわけないだろ」
「どうかな~?」
「さ、行こうぜ」
「あ、待ってよー」
二人は一度、家に寄った。
木でできた普通の家だ。
ここが二人の家。
以後、ハウスと呼ぶ。
二人は両親が先に死んでしまい、二人で住んでいる。
つまり、孤児だ。
ちなみにタクトが兄でサチが妹です。
タクトは棚から一本の木刀だった。
「よし、お待たせ」
タクトはサチのもとへ行き、森へ向かった。
~サーペント森林~
森の中は木陰で涼しい場所だ。
風が吹き抜けると木々がざわめきその音がとても心地よかった。
二人は奥に進んでいく。
すると、綺麗な湖にでた。
「さて、ちゃっちゃと釣るか」
「タクト、餌つけて」
「はいはい」
タクトはサチの釣竿に餌をつける。
餌を付け終え、釣りを始めた。
しばらく待っていると竿に反応があった。
「きっっったぁぁあああああ!」
タクトが目を光らせて思いっきり釣竿を引っ張りあげた。
釣竿の先には鮭(サケ)が引っかかっていた。
サイズは少々小さめだが一人分には丁度よかった。
「もう、少しは静かにしてよ。魚が逃げちゃうでしょ。よっと」
サチも釣り上げた。
キスだ。
塩焼きがおいしいです。
「今日の飯分はもうとったから帰るか」
「うん♪」
二人は家に帰ろうとした。
そのときだった。
急にあたりが暗くなった。
すると、湖の上の空間が歪んだ。
そして、そこから何か出てきた。
「ヒッ!」
サチが小さな悲鳴を上げた。
出てきたのは骸骨だった。
黒いローブにフードをかぶった骸骨だった。
『丁度良い人間がいる』
その骸骨は水上を滑るように二人に近づく。
タクトはサチを守るように前に出て木刀を構えた。
骸骨は右手に武器を持っていた。
大きな鎌。
大鎌だ。
その大鎌は簡単にタクトの木刀を切り、タクトの体を傷つけた。
「うあぁぁあああ!」
「タクト!」
タクトのHPがぐんぐん減って赤色にまで減った。
兄に近寄ろうとしたサチを骸骨が左手で掴む。
そのままゆっくりと持ち上げる。
「助けて!助けてぇ!」
「サチ!サチを離せ!」
タクトは折れた木刀で殴りにかかるが骸骨にあっさり弾き飛ばされる。
なんとかHPは残ったが、ほとんど瀕死状態だ。
『これならきっとあの方もお喜びになる』
「あの方・・・誰だ!そいつは一体誰だ!サチをどうするつもりだ!」
『小僧、お前には関係ない』
骸骨の周りの空間が歪む。
そのまま骸骨はサチを掴んだままその歪みの中に入る。
『我はアイザック。死神が一人。返してほしければ『死地』におもむくがよい』
「お兄ちゃん!」
「サチー!」
タクトは力を振り絞って歪みに向かって跳んだ。
だが、あと少しのところで歪みは消えてしまった。
そのまま湖へとダイブする。
周りの景色が元に戻った。
湖に浮かぶタクトは歯を食いしばった。
「ちっくしょぉぉぉおおおおおお!」
タクトは叫んだ。
誰も居ない湖の中で。
決意
タクトは目が覚めたら家に居た。
さっきまで確か湖にいたはずだった。
ぷかぷかと一人浮かんでいたはず。
それなのに今は家に居る。
「おお、目が覚めたようじゃの」
タクトは起き上がる。
すると、一人の老人が座っていた。
街では見たことのない老人だった。
「誰ですか?」
「ふぉっふぉっふぉ。ただの老人じゃよ」
その老人は勝手に湯呑みで茶をすすっていた。
そして、湯呑みをテーブルに置くと、何かを持ってタクトに近づいた。
タクトの目の前に座り手に持っていたものを手渡してくる。
長い物で袋に納められていた。
手に取るなり、袋の紐をほどいて中身を取り出す。
それは刀だった。
部類は日本刀と呼ばれる湾曲した刀だ。
「これは」
「ふぉっふぉっふぉ、元服祝いみたいなものじゃ。おぬしが12歳になったときに渡してくれとおぬしの父親に頼まれとったんじゃ」
「父さんが?」
タクトは刀を抜いて見た。
刃は乱れ刃。
刀身はほのかに熱を帯びていた。
「高熱石で打った刀じゃ。名を『緋焔』と言う」
「『緋焔』」
タクトは目を閉じて刀を鞘に納める。
すると、メールが来た。
何かと思うと、防具服屋からだった。
メールを開くと添付ファイルがあった。
添付ファイルを開くと防具服が送られてきた。
メールの内容は、
『君のお父さんからの届け物です。12歳の誕生日に渡すように頼まれてました』
再び父さんの名前が出てきた。
タクトはその服をメニュー画面から装備した。
それは胸当てに左肩にショルダーガードがついた赤いコートだった。
『ブレイズ オブ スカーレット』
そうか書かれていた。
「これはどういうことなんだじいさんって、あれ?」
いつの間にか爺さんは居なくなっていた。
ドアを開けた形跡もなく、一体どこへ消えたのだろう。
だが、今のタクトにはそんなことよりも優先するべきことがあった。
連れ去られた妹、サチを助ける。
どこにいるかわからない。
だが、何もしないより何か行動したほうが100倍マシだ。
タクトは家にあるお金を引き出し、地図表示した。
目指すは先にある小さな村、メサイア。
タクトは決意した。
必ずサチを助けだすと。
だから、
「それまでお別れだ」
タクトは家をロックして背を向けた。
そして、村に向けて走り出した。
ブレードクロニクルガイア(BCG)