かたこいのいたみ

しっかりと背中に回された
大きな腕

体温がある
鼓動がある

顔は見えないけれど

愛しているひとが

抱きしめてくれる

「ちがうの」

思わず呟いてしまった

抱きしめる力も
感じる温度も

強くなればなるほど
遠くなっていく

「ちがうの」

抱きしめてくれる人は
何も言わないで
何でもくれた

「ちがうの」

私は凍え死にそうだった

「幻想」

夢、妄想、願望

「ちがうの」

血が流れた
どこから流れたのかわからない

ついに私は
愛しているひとの腕の中で絶命した

痛みはなかった

かたこいのいたみ

かたこいのいたみ

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-08-26

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted