水曜日の大陸

或る日突然
本当に唐突に
前触れもなく

私が暮らしている
大陸の真ん中に
大きくて
黒くて
ふわふわした
物体があらわれた

あれは植物だというひと
あれは動物だというひと
あれは宇宙生命体だというひと

私は歯を磨きながら
窓から
大きくて
黒くて
ふわふわした
その物体を見ていた

埒があかないからって
飛行機が撃ちにきた
ぱちんぱちんと音がする
そして
ぽふぽふと物体に当たった

飛行機はよろよろと飛んで行き
基地へ戻って行った

「水曜日なのに」
「お疲れ様です」

私はうがいをして
窓からもう一度
大きくて
黒くて
ふわふわの
その物体を見てみた

好きで、

大きくて
黒くて
ふわふわの
物体になったわけではないし

好きで、

人目につきやすい
大陸の真ん中に
存在してるわけではない

なのに飛行機は撃ちにくる

毎日テレビで
「動物」、「植物」、「宇宙生命体」など
何にカテゴライズするべきかを
えんえんと語っている人が映される

そんなことより
今日何を食べるか
今日誰に会うか
今日何時に寝るか
そんなことでも考えればいいのに

暇なわたしたち

わたしは乾いたパンを齧った

水曜日の大陸

水曜日の大陸

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-08-23

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