メビウス

騒々しい宇宙の中で
いつかの光を発見する

騒々しい宇宙の中で
いつかの音を耳にする

騒々しい宇宙の中で
誰かの意識を受診する

騒々しい宇宙の中で
誰かの涙が通過した

雨粒だけを集めた瓶には
沈黙が流れている

あまりに宇宙が騒々しくて
瓶の中に引きこもる

いつかの光を浴びに行く
いつかの音を聴きに行く
誰かの意識に入り込む
誰かの涙は瓶に招き入れる

瓶の中には
全ての真理があった

わたしは居心地がよくて
何年も何年も瓶の中で過ごした

何世紀か経って
ようやく瓶から這い出ると

宇宙には沈黙が流れていた
わたしは心細くなった

誰かいないか
懐中電灯を振り回す

誰かいないか
声を張り上げる

誰かいないか
テレパシーを飛ばす

何も返ってこない
何も反応しない
沈黙と孤独だけが
きらきらと瞬く

わたしはついに泣き出した

メビウス

メビウス

  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-08-21

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted