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私はさ、りんごが好きなの。知ってるでしょ、私がどれだけりんごが好きなのか。それなのにさ、なんで、貴方はりんごが嫌いなの?りんごこんなにおいしいのに。蜜が詰まったあんまいりんごも、小さくても酸っぱいりんごもどちらもおいしいじゃん。貴方もりんご食べなさいよ、ええ?りんごどうして食べられないわけ?…私のことを愛してないんでしょ。そうなんでしょ。ねえ、何か言い返してごらんなさいよ。今、ここでりんごを食べないなら貴方は私を愛していないということになります。よろしいですか?そういうことですものね?ううん、私が間違ってるかどうかなんて問題じゃないの。今すぐ貴方が私の目の前でりんごを食べればいいの。それだけ。そうやって、いつも貴方は私に責任を押し付けてさあ、主題をずらして自分の都合のいいようにするよね。もうさいあく。でも私はやさしいから貴方を許しますよ。そのためには、りんごを食べなさい。りんご食べなさい。りんごを食べるなら私は貴方を許します。りんごを、齧って、咀嚼して、嚥下しなさい。簡単じゃない、はやく食べなさいよ。ほら。ほら、なんで、、なんで食べないのよなんでなんで。なーんーでーりんごをー!たべないのかしらー!あなたは!私のだいすきな~りんごが~食べられない~~~の~~~~。私のこと嫌いなのね。私をこれだけ愛してるだとなんだと言いながら、たかがりんごひとつ食べられないなら、もうおしまい。私たちはおしまいです。さようなら、さっさと帰って。目障り。わかれよ。いままでありがとうございました。たのしかったでーす。りんごが食べられない貴方にはがっがりです。あーあ。結婚相談所いこっと。

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  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-08-18

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