いぬかぶり 第8話
ソフトボールの合宿から帰ってきました。
暑かったです。
汗臭さに驚かされました。 もちろん自分の。
日焼けもしました。
足の途中で色が変わっていますww
街中でそんな人を見たら私のような人だと思ってください。
…まあ、何やってるかはそれぞれ異なりますけどね。
ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。
おたのしみください。
佐藤は、日曜日は自宅にずっといた。インターネットで昔好きだったアイドル等を調べていた。
ROSAに行くことも考えたが、毎日行くと飽きてしまいそうな気がしてためらわれた。
ふと思いだして、藍沢から来たメールを読みなおしてみる。藍沢が自分のこれからについて話をしたいという。(何を話し合うのだろうか。藍沢はもうやめてしまった会社の上司だ、辞めてしまった人間にわざわざ関係する?)佐藤は不思議に思った。しかし、人の考えていることで、他人から考えることは難しい。佐藤は自分の学生時代の国語の点数が悪かったことを思い出す。(確か…人の考えることなんてわからない、なんて思ったんだっけ。)一人で思いだし笑いをする佐藤。一人きりの部屋に笑い声は響き渡った。
「なーんで、佐藤君は今日に限ってきていないのかなぁ?」
Rosaのソファーに大の字になって寝っ転がる多田。
「今日は仕事をしないの?」
お母さんが店の料理の下ごしらえをしながら多田に話しかける。
「今日は大体の会社は休みでしょ。だから、今日は俺も休み。」
よくも毎日休みのような生活をしているような奴が言うよ、と小声で言うお母さん。もちろん、多田には聞こえてこない。
「多田さんさぁ、何の用事もないなら家でゴロゴロしていたらいいじゃない。わざわざうちに来る必要もないでしょうに。」
多田はお母さんの方をじっと見る。少し、首を横に振る。
「おかあさん、どうやったら女の人に触れることができる…?」
「それを一般客がいるときに言わないでね。…普通の生活をする努力をしたらいいのよ。あなたはその努力を怠っているのよ。」
多田は耳をふさぐ。
「佐藤君に昨日の話の続きをしようと思ったのに。まったくだ。」
「あんたは、人に話をしておきながら人の話したことはすべて無視する癖があるみたいね。」
「今日は佐藤くんが来ることを期待して、ずっとお店に居ようかな。」
やはり多田はお母さんの話の大半を無視していた。
ドアベルが鳴る。近所の家族が入ってきた。どうやら、どこかに出かけるついでに寄ってきたようだ。
「いらっしゃい。」
お母さんはニコニコしながら接客する。先ほどまでの多田に対する態度とは180度変わっていた。
「昨日、夜7時ごろ浦和区のコンビニで立てこもり事件が発生しました。事件は警察の特殊部隊が到着してすぐに解決しました。捕まったのは25歳、自称会社員の丸山徹也容疑者。丸山容疑者は警察の取り締まりに対して『会社での仕事や上司との関係が上手くいかなくてかっとなってやった。こんな騒動にするつもりはなかった』と話していると、警察関係者に対する取材で明らかになりました。」
カウンターに置いてある、地方のFM局を流しているラジオからニュースが聞こえてきた。お母さんは呆れたように溜息をついた。
「佐藤君は会社であまりうまくいっていないような感じだったけど、あんまり荒れた感じしないわよね。あの事件の犯人みたいにかっとなって何かをやる感じが一切しないわ。」
お母さんはコップの整理をしながら、多田に話しかける。
「ああ。彼はおとなしい人なんじゃないかなって思っている。物腰柔らかで、絶対に怒らない感じ。」
多田はパソコンをいじる。画面上には、いくつものウィンドウが開かれていた。お母さんは客に水を出すついでに客席の方に出てくる。水を出して、カウンターに戻るついでに多田の使っているテーブルに近づく。
「多田さんって、いつも何をやっているのかしら?うちの電源使って。」
お母さんがパソコンのディスプレイを覗き込む。多田はすぐにノートパソコンを閉じた。
「企業秘密。」
多田は小さくつぶやいた。
佐藤は一人で一日過ごしてみて、一人でいるとさみしさが身に染みることが分かった。(多田さんは、毎日のようにあの店に居座っているという。多田さんは、僕みたいにさみしがり屋なのだろうか…。だから、毎日店にいるのかな…。これからは毎日多田さんみたいに、店に顔を出すのもありかも。そういえば、高波さんたちも毎日来ているのかな。)佐藤は浴槽に身を沈めながら考える。だとしたら、こうやって自分がお風呂に入っている時間にも彼らは店で騒いでいるのだろうか。多田さんもなんだかおもしろい人だってわかったし、鬼塚さんも面白かった。これからもっと話をしてみたいと思った。
佐藤が風呂に入っている間の居間。電話機が鳴る。佐藤はもちろん出ることができない。電話機が留守番電話に切り替わる。
この留守番電話に佐藤が気付くのはずっとずっと先のことになる。
いぬかぶり 第8話
インターバルのような内容になってました。
読み返してみて、退屈さに驚きました。
でも、この中にのちに関係することがあるのですが…わかりづらいですよねぇ。
自分の文才のなさに溜息が出るばかりです。
そんな自分ですが、これからも続けて読んでくださるとうれしいです。
ありがとうございました。