ぼく

現実はいつも残酷だ。
ぼくにはしあわせになる資格がないのかもしれない。
圧倒的な充足感はいつも絶望的な喪失感を伴う。
禍福は糾える縄の如く、ぎちぎちに絡み合っている。
失うことが怖いのか。
手にすること自体が怖いのか。

しあわせはいつも光を伴う。
光を伴って、ぼくの後ろ側に漆黒の影を創り出す。
その漆黒がぼくに問いかけるんだ。
「おまえは、まだ生きていたいか?」
ぼくにはわからない。
生きることは死ぬこと。
生き続けることは死に続けること。

生をより濃く感じれば感じるほどに、死というものがより近く、ぼくの背後に現れる。

背負いすぎた荷物。
通学で使うリュックサックみたいに、不必要なものは家に、机の中に、はたまたゴミ箱へ放ることができればどれだけ楽なのだろう。

ぼくがしてきたことは誰かのしあわせを創り、ぼくのしあわせを創る。

ぼくのしあわせはぼくの絶望を創る。
ぼくのしあわせは誰かの絶望を創る。

まったくもって二律背反だ。
表が裏で、裏が表。

そんなどうでもいい戯言ようなことを考えていたら、予鈴が鳴った。

ぼくは今日も生きているみたいだ。

ぼく

ぼく

なにかを手に入れることはなにかを失うこと。

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-08-15

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