ぼく
現実はいつも残酷だ。
ぼくにはしあわせになる資格がないのかもしれない。
圧倒的な充足感はいつも絶望的な喪失感を伴う。
禍福は糾える縄の如く、ぎちぎちに絡み合っている。
失うことが怖いのか。
手にすること自体が怖いのか。
しあわせはいつも光を伴う。
光を伴って、ぼくの後ろ側に漆黒の影を創り出す。
その漆黒がぼくに問いかけるんだ。
「おまえは、まだ生きていたいか?」
ぼくにはわからない。
生きることは死ぬこと。
生き続けることは死に続けること。
生をより濃く感じれば感じるほどに、死というものがより近く、ぼくの背後に現れる。
背負いすぎた荷物。
通学で使うリュックサックみたいに、不必要なものは家に、机の中に、はたまたゴミ箱へ放ることができればどれだけ楽なのだろう。
ぼくがしてきたことは誰かのしあわせを創り、ぼくのしあわせを創る。
ぼくのしあわせはぼくの絶望を創る。
ぼくのしあわせは誰かの絶望を創る。
まったくもって二律背反だ。
表が裏で、裏が表。
そんなどうでもいい戯言ようなことを考えていたら、予鈴が鳴った。
ぼくは今日も生きているみたいだ。
ぼく