悪口
色々な人の声が耳に張り付いて、凶器になる。
笑う声の向こうに見える影を踏んで影になる。
その一点だけ悪いと主張したところで、みんな同じ。
その声を聞いて頷いた自分の情けなさと惨めさに取り憑かれて、また頷く。
我先に災難から逃げようと、息を殺す。
そんなものを殺さず、心ごと殺してくれたら、何も聞けない、何も見えない、何も感じない。
そんなものであったら、あの言葉の真意を見なくても、聞かなくても、感じなくても良かったのに。
そうやって思っていると主張し、逃げようとしているのも、また、心だったりする。
確かめようのないこれを聞くことも、見ることも、感じることもないのに、不確かな心で確かな罪を犯す。
悪口