火がすっかり消えた
何も産めなくなった気がした。
3年ほど熱を上げて、
3年ほど叫んでいた。

憔悴した女神

火がすっかり消えて、
それでも白紙は厭だった
水槽の海へシアンを落とす
3年ほど上げた熱を呼び起こす
3年ほど上げた叫び声を思い出す

寝不足の女神

火がすっかり消える
いつから消えていたのかわからない
どうしてちゃんと見ていなかったの?
叱りつける声
子どもの泣き声
蝉の抜け殻が地面に落下した

画面越しの女神

火がすっかり消えたのは、
結構前の話で
やっぱり何も産めなくなったまま
白紙は白紙のまま
水槽の海はしんとしている
これは海じゃない
神経質な声がした

神話より少し昔
明日のずっと向こう

小さな熱の気配がする

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-08-13

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