神籬尊-ヒモロギノミコト-

神籬尊-ヒモロギノミコト-

”神籬(ひもろぎ)”―――それは神を迎えるための依り代である。

序章

日本とは多神教の国であり、様々な神様が存在する。その中でも最も特徴的なのが「八百万の神」というものである。
「八百万の神」とは、我々の身の回りのもの全てには神が宿っているという考え方で、その種類は多岐にわたる。その中でも厄介な”神”というのが存在する。それが「オロチ」と呼ばれる”神”である。「オロチ」は最初こそはただの悪戯好きな八百万の神の一つとされてきたものの、徐々にその悪戯はエスカレートしていき、とうとう悪事を働き人々に災厄を招く”神様とは呼べぬ神”に成り下がってしまう。これには神社の宮司や神主達にも手に負えなくなってしまい、人々はオロチによる災厄を恐れ生活せざるを得なくなっていってしまった。
そこに現れたのが、神ならざる神―――「神籬尊(ヒモロギノミコト)」と呼ばれる人々である。彼らは自らの身体を依り代に日本神話の強力な神々を呼び寄せ、その神の力を借りてオロチを征伐する事を生業としていた、いわゆる”上位神官”のようなもので、ごく一部に一般人の出の神籬尊も存在したが、その多くは強力な「依り手の力」を持つ神々を迎える神籬となれる資格を持った一部の宮司や神主で構成されていた。彼らは平安時代中期まで活躍したものの、それ以降は歴史の表舞台から姿を消していった。

しかし時は流れ、21世紀。日本各地ではオロチの仕業とされている怪事件が多発したり、土地開発による環境破壊に怒った土地神がオロチとなり悪事を働くようになるなど、ただの「事件」では隠しきれない事件が起こっていた。
そこで日本政府は秘密裏に日本各地から強力な力を持った6人の少年少女(主に宮司や神主の子供)を集めた。そして彼らを「神籬尊」としてオロチ征伐の任務に就かせる事にしたのだった。
しかし、その6人の中に、本当に普通の少年が混ざっていた。その少年の名は国立 晃(くにたち ひかる)。彼は無意識のうちに、日本神話の神世七代の最後の神・イザナギをその身に呼び寄せていたのだ。

神籬尊-ヒモロギノミコト-

神籬尊-ヒモロギノミコト-

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • アクション
  • 青年向け
更新日
登録日
2017-08-10

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