Re:frain-Days 02
※あくまでも架空のお話です。続きモノです。
ある男子高校生がいた。
彼の名前は藍原清志郎。
彼をただの男子高校生と言うには語弊がある。
成績は優秀、さらには、弓道の腕も立つ、弓道以外の運動に関しても、一流の才能を持ち、まさに文武両道を地でいくような…。
そしてまた、短く切られた黒い髪に、きりりと整った顔立ち。そして、知性の滲みでるような銀縁の眼鏡を携えて。
まさしく、申し分ない模範生である。
しかし、模範生過ぎて、敬遠され気味な彼は、どこかひねくれ者でもあった。
そんな彼が、先程、2人の女子高生の会話にもあった、『2•5パラレル』に引きずり込まれていくのだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー清志郎はこの世界が面白くない。
なぜなら、自分の才能に見合うような、扱いを受けていないと思っているからである。
例えば、クラスで1番の成績を取っていても、学級委員に選ばれるのは、自分ではなく、チャラチャラした大したことのない奴だったり。
いくら、弓の腕があっても、先輩からは邪魔者扱いで、本来なら部長になり得るはずなのに、意図的に部長候補からはずされたり。
いくら、美形と騒がれたところで、ずっと片想い中の幼なじみの女の子からは、いつまでも友達扱いだったり。
挙げ句の果てには、生徒会長に立候補して、これまたたった何票かの差で、当選できなかったり。
「これじゃあ、俺は踏んだり蹴ったりじゃないか。面白くねぇ。」
これが彼の口癖になりつつあった。
そんな彼の人生を180度変えてしまったのが、幼なじみの女の子が、交通事故に遭ったということであった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー彼女の名前は東雲ほたる。
彼が十年以来恋い焦がれてきた女の子。
少し天然で、惚けたようなところもあるが、芯はとても強くて、優しい女の子だった。可愛くて、ふわふわしていた。
そんな彼女が、交通事故に遭い、両親を失った。そして、脚の自由を奪われてしまったのだ。
彼女はあまりのショックに精神を病んだ。そして、清志郎とともに、『2•5パラレル』に墜ちてゆくのだった。
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ある日のこと。どうしても、ほたるの事故のことが受け入れられず、
清志郎はまた、面白くない現実にもの憂げな表情を浮かべ、学校から独りきりで帰宅していた。
すると、知らないうちに、ワケの分からない路地裏に迷い込んでいた。
そこで出会ったのは…
自分だった。
まさかとは思ったが、やはり、自分たったのである。
どうしていいかわからず、立ち尽くす清志郎に、モウヒトリの清志郎がこういった。
Re:frain-Days 02
さてさて、ついに清志郎はなりたい自分に出会ってしまったようです。これから、彼の闘いが始まります。彼は自分に勝つことができるのか?幼なじみのほたるを救うことができるのか?続きます。