街灯

決まった時間に町を照らす街灯。
まだ明るいよと声を掛けても無言を貫いて、照らし続ける。
まだ、太陽がここにあるよと訴えても自分の役目を遂行する。
けれど、逆らえない何かに背中を押されて町を照らしているのだと消えそうに必死で訴え掛けてくる。
ぱち、ぱち、
やらなきゃいけない、けれど力尽きたと言わんばかりの哀しい音を響かせて。
あるがままの意味を受け入れて、意味がないことまで受け入れて、最期にだけ哀しみを訴えてくる、その街灯に照られされて思うこと。
闇の中に隠して欲しかったのに、そういう気分だったんだよ。
街灯は、悲しみさえ訴えることをやめ、力尽きたように何も照らさなくなった。
意味のないことからも、解放されたそれに何故かホッとしている。

そういう時に限って一番星がきれいに光っていたりするんだ。

意味なんてなくても輝き続ける金星に願いだけ与えて。
世界はこうやって回っている。
誰かの我慢の上で幸福が舞う。

いつか、限界がきたら潔く消える覚悟を常に土台として。

街灯

街灯

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-08-08

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