心が悲鳴をあげた後の残響に程よく酔って、苦しみを盾にする。

心の底にある欲を投げ捨てて、中身のない人間だと主張する。

汚いと言われて、欲深いと言われて、何が残るのかと聞けば悪いところが私を表す代名詞になる。

治らない病が増える。末期だって。終末期だって。
余命宣告だって、何だって受け入れるから、一つだけお願いがある。

意味があるかないかなんてどうでもいいから。
取って付けたってそんなのいいから、最期に綺麗な意味を下さい。

死人に口無し。心に口無し。意味に口無し。
死人に朽ち無し。心に朽ち無し。意味に朽ち無し。

最期に綺麗な意味を掻き集めて見た空は無情にも真っ暗だった。
振動する心臓が弱く伝える希望はただ、あるだけの見せかけの希望。

誰も恨めない。この病も恨めない。
別れを告げた時の一コマを消して、そして全部忘れてと頼む時やっと、星が一つ流れた。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-08-08

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