バラバラだったもの②
続きです。
白いゴリラの住処に来てしまった2人は、呆然としていた。すると、ゴリラが、私の名はトーリーだ!と言ったので2人は、おどろいた。そこで、言葉が通じることに気づき、何故私たちをさらった?と聞いた。トーリーは、ここを支配している男の関係者が来るという予言があったからだ!と答えた。よく、予言の者が私とわかったもんだと思っていた美海だが、明らかに服装からして場違いな私たちに気がつくだろうと後々、納得した。美海は、嵐がお前達に何をした?と聞いたところ、呪いをかけられたと言った。普通、ゴリラ何て黒が妥当だろう。しかし、見てみろ…ここにいるゴリラたち全員が白ではないか!人間にたとえると、老人のような格好に見えた。トーリーは、呪いをかけられたあと、日に日にこの白い無様な外見になってしまった。と言った。どうしたものかと美海と和也は考え込んだ。すると、美海がこう思った。私の推測にすぎるが、神経質でストレスに敏感な性格が影響しているのではないだろうか?と思った。和也は、たしかに人間でもストレスを溜め込むと、何らかの症状が現れると思った。ならば、トーリーたちの性格をなんとかしてやらなくてはいけないのか…性格を治すなどそう簡単に出来るものではない。しかし、嵐を取り戻すためのなにか鍵が見つかるかもしれないと思った美海は、トーリーにこう伝えた。トーリー!まず、お前たちの性格を治さなくては元には戻れまい。しかし、簡単に治せるものではない。だが、私は嵐を取り戻すためにお前達の協力も必要だから、手伝わせてくれ!もし、元の姿に戻ることが出来たら協力してくれるか?と尋ねた。トーリーは、もちろんお前に恩を返すつもりだ!と言った。契約成立ということで、美海は早く解決したかった。そこで、美海はあれを使うしかないと思い、黙り込んだ。あれとは…美海は普通の人間とは違う特殊な能力を持っている、一,生き物の過去を見ることが出来る。一,傷を癒すことができる。一,相手の心が読み取れる。
準備をするのに、1ヶ月かかってしまい、美海はゴリラたちを集めるよう、トーリーに伝えた。美海が、ゴリラたちに言った…私は特殊な能力を持っている。この力を使って、元のお前達の姿に戻す手伝いをする。まずは、成人を過ぎた男女はパートナーを見つけ、家族をつくれ!家族が出来れば、今の様な自分勝手な考えが消え去るだろう。つまり、私が言いたいのは周りと協力し会える関係を築いてほしいのだ。また、独り身になった者を作らせないように、養子をつくるのもいいだろう。すぐには、難しい話だがこの1年でなんとかお前達を元に戻してやりたい。協力してくれ!すると、次の日からゴリラたちは、今までと違った行動や態度が多くなっていた。
そして、1年が経ちみるみるうちに白い姿が黒く染まっていくではないか。あっという間に、元の姿に戻ることができた。しかし、トーリーだけは白いままだった。パートナーもいて、家族もいるのにどうしたことかと美海は思った。そこで、あれを使った。傷を癒す手で、トーリーの心のうちを探った。…美海の目には涙が溜まり、胸が張り裂けそうな気持ちになった。トーリーが毎日のように涙を流し、一人ぼっちだった姿に胸が痛んだ。そして、トーリーが両親に、どうして暴力をふるうの?!なんで、痛い思いを毎日耐えなくちゃいけないのぉぉぉおお!!すると、母が、私はあんたの泣く顔がたまらなくてね、殺してやりたいくらいよぉぉぉぉぉぉおおお!!!!と言ったとこで、現実に戻った。トーリーは、両親から暴力をうけ心から人を思いやる気持ち・信頼する気持ちを失っていたことに気づいた。たがら、家族を持ってもどこか信用出来ず1人、孤独を感じていたのだ。また、トーリーは誰からの愛情もうけていないため子へ愛情のかけ方を知らない。美海は、トーリーに優しく話しかけた。トーリー、お前の昔の心の痛みがわかった。だからといって、お前に同情する気はない。両親を憎んでいる気持ちが今でもあるだろう。しかし、憎めば憎むほど自分自身が寂しく感じることはないか?私は、お前の憎しみを取り除いてやりたい。だが、それは私ではできないのだ。お前自身が憎しみに勝たなくては前には進めない。トーリー、あんたは奥さんが好きで家族をつくったのではないのか。そこに、偽りはないように見える。ならば、奥さんと一緒に子のために家族を守れるだろう。愛情表現はな、言葉や行動だけでは伝わらないのだ。よく、覚えておけ、愛情表現は気持ちがなくては何をしても伝わらない。仲間のために、自らリーダーとなり、周りからいつも慕われていたお前は幸せだと思うぞ。愛情を、注ぐことで裏切りも出てくるかもしれないが、そんなことはどうだっていい。どれだけ、愛情を注いで、どれほど愛情を周りから注がれ生きることができたかお前にはわかるはずだ。私は、トーリーのことが大好きだぞ。と、心を込めて伝えた。すると、トーリーの家族も茂みに隠れて話を聞いていたらしく、その日のトーリー、一家は温かな雰囲気に包まれていた。
半年が経ち、トーリーも元の姿に戻っていた。美海は、よし!これで一件落着だなと和也に言うと、俺も美海のこと大好きだからな。と言った。美海は赤面状態になり、和也から目をそらした。和也はたまに天然なとこがあるからいつもハラハラしてしまう。そこに、トーリーがやって来て、美海と和也ありがとう。次は、お前達の番だ!と言い笑顔で握手を交わした。美海は、初めて名前を呼ばれたことに感激し更にトーリーのことが大好きになった。トーリーは、お前達が助けてほしいと思った時は指笛を鳴らしてくれればすぐ駆けつけるからな!と言った。美海は、また会える日を楽しみにしてる!と言い、別れを告げた。
その後、美海と和也が喋りながら歩いてあると1匹の青い兎がこちらに近寄ってきた。兎は、私に着いてこい!と言うような目で私たちに道案内をした。2人は、兎についていった。すると、そこには一淡い青色だらけの兎がいた。
~乞うご期待~
バラバラだったもの②