小学生事情
小学校に通う、サッカーオタクの少年・宮城翔と、少林寺拳法オタクの本城砂南。
翔の幼い片思いは、砂南に届いているのか・・・・?
市立雅小学校―――
2年A組の学級委員はちょっと変わったサッカーオタク・・・
女子の方の学級委員は少林寺拳法の道場の娘で、拳法オタク・・・・
この二人は家が隣同士で、生まれた時から一緒にいる超仲良し。
時にはこんなことがあったりする・・・
「ねー、砂南ちゃんって、翔くんのこと好きなの?」
クラスで一番かわいくて、人気のあるお嬢様系の女の子、美麗ちゃん。
「んー?好きじゃなかったら一緒に登校なんかしないし、今頃喧嘩ばっかだよ?それに、喧嘩したって、私絶対勝っちゃうし・・・・」
「それは恋愛なの?」
小首をかしげると、より可愛くなるということを彼女は小学生のくせして知っているらしい。
「えー?レンアイなんてまだわかんないよ?だって、翔は翔だもん」
そう言った砂南につまらなそうな顔をしてどこかへ行ってしまう美麗ちゃん。
その後ろから不機嫌そうな翔。
「砂南ぁ?」
「あっ、翔!」
翔を見つけ、小走りで向かっていく砂南。
「あのね、今美麗ちゃんに変なこと聞かれた。私が翔を好きなのかーって。変だよねぇ。私が翔を嫌いになるわけないのに」
愛らしく笑う砂南に翔は若干の不満を覚え、砂南のやわらかいほっぺを両側からつねる。
「いひゃい!ひゃひひゅうひょっ(痛い!なにするのっ)」
「・・・・なんかむかついたから」
「んもーっ」
やっと解放された砂南のほっぺたはほんのり赤くなっていた。
「バカじゃないの翔はぁっ!私が嫌いっていって怒るならわかるけどさぁ、なんで好きって言ってるのに怒るかなぁ」
「・・・知らなくていいよ」
「・・・・かける」
「なに」
「今日、テンション低い」
「それで?」
「怒ってたわけじゃない、ね」
「そうだね」
「・・・かける」
「な、に」
今までシャツの裾を引っ張られて歩いていた翔はふいに止まった砂南を振り返って止まった。
「なんで、泣いてんの!」
「だって、翔こっち向かないから」
「ごめんって!俺が悪いな!もう変な怒り方しないし、いじけない!」
「・・・・ん・・・・・・・ん?いじけてたの?翔」
「・・・・・おう」
「ごめん・・・・翔」
「なに」
「大好き」
「////・・・あっそ」
その次の日。
翔にも同じ質問がきた。
「なー、翔!お前って本城のこと好きなのか?」
クラスで作ったサッカーチームの副キャプテン、響が翔の机にのっかかる。
「何いってんだよ!バカかっ!?」
「うーわっ、真っ赤だなぁ」
「笑ってんなよ!?バカじゃねえの・・・・」
「昨日、美麗が本城に聞いたらしいんだけど、お前男として見られてねーのなーっ」
「お前と美麗と一緒にするな」
「なんで、俺らが恋人同士みたいな言い方すんだよ。ただの双子だろーが。ばーか」
「俺は一生砂南以外の本命は作んねーの」
「おぉっ。なーなー、美麗に報告していーかっ」
「すきにしろよ」
そう言って立ち上がった翔は砂南のところにいってさっきよりも楽しそうに話し込んでいた。
放課後。
「翔、はやくかえってお父さんと手合せしよう!」
「おーう。そのあと練習あるからすぐ帰るぞ」
「わかった!それならなおさら早くかえろっ」
砂南に引っ張られる右手に愛おしさを感じる翔は砂南を追い越す勢いで前へ出て、逆に砂南を引っ張っていった。
小学生事情
すいまっせん。
全力で土下座を・・・・・・
このあと二人は卒業し、同じ中学に通い、同じ高校に通い、大学はスポーツ推薦で入り・・・・と仲良く進学。
恋の行方はのちのち・・・
翔が報われる日はそう遠くありませんww