故郷

うん、まあ

あかあかと照る朝焼けに
我ひとり故郷(こきょう)の街を彷徨いたり



ああ!過ぎ去りしかの思い出の
今も我を悩ませざりしことかな!
黒々とした地中に
我の影うずもれて
そこから恨めしき地上の人々を黒い瞳で見つめるなり



見上げる空には二羽の鴎、親しげに飛びにけり
小さき翼を広げ、互いに睦まじく飛びにけり
我にもかつてかの二羽の鴎の如き恋人ありしや
互いに睦まじく親しげに
道なき道をあゆみけり



ああ、かの恋人の親しげな黒き瞳、追って
我は今、故郷(こきょう)の街をひとり彷徨いたり
まことに寒き日なりき
かの思い出の親しげに我を見つめるや
我は一人の旅人として
この果て無き道を一人歩みたり

故郷

故郷

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-08-04

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