切り抜ける今
嘘だけを切り抜くカメラの前に立って本当を訴える。
本当しか写せないカメラのシャッターを押す手が震える。
同じカメラに映る世界に映る一瞬を嘘か本当に分けることを極端に行い過ぎたアルバムに汚れというフィルターがかかる。
思い出までも嘘か本当に分けて、あの瞬間の笑顔さえ嘘か本当に分けて、その一瞬の中で抱いた気持ちを忘れる。
思い出という一枚に何を探すのか。
その一枚に本当を探している心のどこかで嘘をついて
今を肯定する。
そうやって、後悔のなかで増やす嘘。
消えない嘘を本物して捲るページ。
しおりを挟むページを探すことの責任に背中を押されながら今日もまた読み返す。
切り抜ける今