オーガンジースカート 2
それはきっと、貴方のせい
わかってるの?これ以上は無理よ。
もう二度と、私の領域に入らないで。
ーーー
夕食は冷凍食品のパスタ。
ジェノベーゼの気分だった。
一人寂しく取る食事なんてこんなもの。
つまらないバラエティー番組を何も考えずに見ていた。
賞味期限の近いオレンジジュースが喉に少ししみた。
眠る準備をして、洗っておいた枕カバーに顔を埋める。
次の日が仕事の夜は、きまって眠りたくなくなる。
それでも抵抗できずに寝てしまうあたり、わたしはやはり弱いのだと思う。
流されてしまえと。
ただ今日は、不快な音が耳を掠めた。
小さな音なのに、はっきりと。
やめて、勘弁してよ。
ーーー
暗がりの隙間から垣間見る彼女の顔は、驚くほど色がない。
無表情に食事する様はなんだか殺風景で。
遠い将来、僕らの世界では食事なんてもっと貧相なものだ。
栄養剤を通して、生きるのに必要なものだけを摂取する行為、ただそれだけ。
けれど彼女の姿はそれよりももっと精神的に、貧しさを感じてしまう。
何が、満たされないのだろうか。
夜が深くなり、僕の行動範囲は広まった。
こんな形でのフタリキリは、まるで理想としてなかった。
存在には気付かれていても、僕と認識されていなければ意味はない。
ただ、逢いたかっただけなのに。
これは傲慢か。
ただ、君を想う人間がここにいることを知って欲しかった。
それが例え君を不快にしても。
やはり、これはただのエゴで、僕は単に最低なことをしている。
それを知りながら、流されてしまえと。
ーーー
夜は更ける。
一度だけ聞こえたその音は、もう鳴ることはなかった。
オーガンジースカート 2
オーガンジースカート 2