清澄な貴方
貴方を愛していた。
どこまでも純粋で恐れを知らない貴方を。
葉擦れの音や空気の白さを愛する貴方を。
繊細で鮮やかな色の魂をもつ貴方を。
僕の名前を丁寧に優しく呼ぶ貴方を。
そっと僕に手紙を綴ってくれた貴方を。
そんな貴方も簡単に消えてしまうのだろう。
僕にはただ祈ることしか出来ない。
差し伸べる手も貴方には届かない。
でもきっと優しい青空や瞬く星々が貴方を守るよ。
寂しく思う日には風が暖かい空気を運んでくるよ。
柔らかい朝日が貴方の目覚めを歓迎してくれるよ。
罪を知らないものたちが貴方の心臓を洗う。
そして貴方の体には透き通った血が流れる。
全てを知ろうとしなくてもいい。
全てを理解出来なくてもいい。
貴方は愛すべきものを愛せばいい。
貴方の中を流れていく透明な血はきっと
空に
風に
花に
波に
空気に
音に
澄み輝く。
そして僕の心臓を清めるだろう。
清澄な貴方