悩み

 ザザァ……… 
  ザザ……

夜。
何度も寝返りをしたけど眠れなくて、ベットから這い出したキラは
家の前に広がる海に足を運んだ。


夜空に光る星たちをみながら、キラは今までのことを振り返っていた。

たくさんの命が失われた戦争。
守れなかった命。
たくさん流した涙―――。


彼もまた、たくさんの命を奪った。


停戦後、心と身体に多くの傷を負ったキラは
ラクスと共に、キラの(自称)姉のカガリが代表を務めているオーブで暮らしていた。
カガリはキラだけではなく、ラクスも心に傷を負っていることを
知っていた。
そして、カガリは2人が住むにはとても広い豪邸を貸してくれた。

その好意もあってか、二人の心の傷は、少しずつ癒えていった。


しかし、キラは、ふと思うことがあった。


―――僕は、ラクスの重荷になっていないだろうか?


キラが辛いときや泣いているとき、彼女はいつもキラの傍らで
見守ってくれていた。
キラの言葉を否定も肯定もせず、受け止めてくれていた。
そのおかげでキラはずいぶん救われた。

―――でも、僕は?

ラクスになにかしてあげてただろうか?
自分の悲しみや苦しみばかりで、ラクスの心の傷を癒すことが
できていないのではないだろうか?

だとしたら、僕は彼女を苦しめているのではないのか。
僕に気を使って、一緒にいてくれているのだとしたら。

―――僕はラクスから離れた方がいいのかもしれない。

キラは一人、ひたすら頭の中で悩んでいた。


すると背後から、なじみのある声が聞こえた。


「キラ?どうなさったのですか?」

振り返ると、案の定、そこにはラクスがいた。

「あぁ。ごめん。ちょっと考え事をしていたんだ。ラクスこそどうしたの?こんな夜中に。」
「わたくしは目が覚めてしまいまして…。お水を飲みにキッチンへ向かう途中、
玄関をみたらキラのお靴がなくなっていて、鍵もあいていたので…
こちらにいらっしゃると思いまして、来てみました。」

そういってにっこり笑った。
…と思えば、急に少し悲しげに眉を寄せてキラに問いかけた。

「何を…考えていたのですか?」
「え…っと…」

キラは一瞬言葉に詰まったが、勇気を振り絞って、訪ねてみることにした。

「僕は…ラクスのそばに、いてもいいのかなって…」
「まぁ。なぜですか?」

ラクスは目を丸くした。

「だってラクスは戦いの間、ずっとそばにいてくれたし、今もこうして
僕とずっと一緒にいてくれて。僕の言葉とか、受け止めてくれてるのに、僕は、
ラクスになんにもしてあげられてないんじゃないかって、思って…。」

キラは無意識に拳を握りしめていた。

「キラ…」
「ラクスが、僕のことを重荷と思っているのなら、僕は、君から離れなちゃいけないのかなって…。」

「キラ!!」

ラクスは軽く叫ぶようにキラの名を呼ぶと、静かにキラに聞いた。
「貴方は…わたくしは重荷だと思いますか?離れたいですか?」
「そんなことないよ!!」

キラは心外そうに言った。

「わたくしもですわ、キラ。」

ラクスはそっとほほえみ、キラの握りしめていた手をとった。

「わたくしは、キラを重荷だなんて、思ったことありません。ご自分では気づいてらっしゃらない
ようですが…わたくしもキラに、大変救われているのですよ?」
「僕に…?」
「はい。わたくしの父が亡くなった時、貴方はわたくしを抱きしめてくださいました。わたくしはそれで、
心が少し軽くなり、とても救われました。」
「ラクス…」

ラクスはキラの両方の手を握って、こういった。

「キラ…これからも、離れたりしないでくださいね…?」
「もちろんだよ、ラクス。君さえよければ、僕はずっと…」


キラはラクスにそっと口づけをした。
そして少し頬を染めながら言った。

「変なこと言ってごめん。そろそろ戻る?」
「そうですわね。」

そういって、家に戻ろうとするラクスを思わず呼び止めた。

「…っ。ラクスッ」
「はい?」
「愛してる。」
「!…わたくしもですわ。キラ。」

自分で言っておいてなんとなく恥ずかしくなったキラはラクスの手を取って歩き始めた。
するとラクスは腕を組んで、キラにほほえみかけた。

家に戻っていく二人の背中を、朝日が照らし始めていた――。

悩み

うわ…。
なんという駄文。

しかも初投稿のくせに暗い…。

読んでくれたあなた様には感謝です。
ありがとうございました(T0T)

悩み

キラとラクスの、停戦後の話。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-08-15

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