時雨1
「今日からよろしくお願いしますね?紅葉」
その人は私に向けて優しい笑みを見せ言った。
なんでこんなことになったのだろう?
私には未だに理解できない
いや、したくなかった?
私は綾という。今は就職先を探すためいろいろな所へ出回っている
さっきから人の視線が気になる
私は自分で言うのもなんだが…その…人によく好かれていた
それで異性に声をかけられることもしばしばあった
「ねぇねぇ!そこの君ってば!!」
またよくある誘い方だな…
「なんだよ。私に用か?」
「うん。ちょっと一緒に買い物とかしようよ」
面倒だ。なぜ答えなければならない
それが相手には睨んでるように見えたのか
「うわぁ…怖いねぇ。でもそれも悪くない!「キモい趣味してんな。じゃあな。こっちは忙しいんだ」
いつも通りにスルーした。
なのに…
「おい。なに勝手に逃げてんだよ」
あんなにおちゃらけたヤツが急に口調が荒くなった
「だから言ったじゃねぇか。忙しんだよって何しやがる!?」
そいつは私の手を強く掴んだ
「口説いただけじゃ無駄って分かったから強制的に連れていくわ」
「ちょ…ゃめろよ!オイ!!!!」
ダメだ。離そうとしても女の力じゃ離せない
「いいじゃん。こっち来てよ」
「嫌だっ…お前のところなんていk」
その時だった
「ほら…困っておりますよ。やめたらどうです」
聴いたことのない低く透き通った人の声
青い髪と瞳をもった彼はそれは綺麗な人だった
「ぁ…え?」
さっきまで強気だったヤツはこの状況に驚きをかくせない
「なんで…いるのですか…?」
そのままヤツは逃げるように走り去った
これくらいのことで動揺するってどうなんだとため息をつく
「大丈夫でしたか?」
また彼は優しく声をかけた
「あぁ…すまなかった。ありがとうございます」
時雨1