7月7日の午後8時
夏休み。
7月7日の午後8時
私はママの作ってくれたお弁当を持って。
君はパパに買ってもらった望遠鏡を抱えて。
楠の下で、星を見る。
君は私の右手をしっかり掴んで
――あれが、夏の大三角
そぉ言って、私に教えてくれる。
私は馬鹿だから、星の違いは分からない。
でも、君は、君だけは、分かるように教えてくれる。
――指でトライアングルを描くんだ
――そして、3つの角に、デネブ、アルタイル、ベガ
――綺麗な星が、いるんだよ。
私には、綺麗な星は見えないけど
こんなにも君が夢中になる星は
きっと、宝石みたいで眩しいのだろう。
だから、私は、大人になっても
7月7日の午後8時に星を見る。
――あれが、デネブ、アルタイル、ベガ…
順番があってるか、分からないけれど
子供の時の感覚ははっきりしてる。
その感覚を頼りに、
私は空をなぞる。
ねぇ、君も見てますか。
夏の大三角。
7月7日の午後8時