7月7日の午後8時

夏休み。
7月7日の午後8時
私はママの作ってくれたお弁当を持って。

君はパパに買ってもらった望遠鏡を抱えて。

楠の下で、星を見る。

君は私の右手をしっかり掴んで

――あれが、夏の大三角

そぉ言って、私に教えてくれる。

私は馬鹿だから、星の違いは分からない。
でも、君は、君だけは、分かるように教えてくれる。

――指でトライアングルを描くんだ
――そして、3つの角に、デネブ、アルタイル、ベガ
――綺麗な星が、いるんだよ。

私には、綺麗な星は見えないけど
こんなにも君が夢中になる星は
きっと、宝石みたいで眩しいのだろう。

だから、私は、大人になっても
7月7日の午後8時に星を見る。

――あれが、デネブ、アルタイル、ベガ…

順番があってるか、分からないけれど
子供の時の感覚ははっきりしてる。

その感覚を頼りに、
私は空をなぞる。

ねぇ、君も見てますか。
夏の大三角。

7月7日の午後8時

7月7日の午後8時

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-08-14

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